GROOVE ARCHIVE
← クラシック
Palestrina: Missa Papae Marcelli

クラシック / 中世とルネサンス · 1980

Palestrina: Missa Papae Marcelli

タリス・スコラーズ

팔레스트리나: 교황 마르첼리 미사 · 탈리스 스콜라스

この一枚を聴く理由

一つの声を追っていると、別の声がその動きを引き継ぎます。大きな合唱の響きの中に、それぞれの歌の行き先を探してみてください。

音楽と一緒に読む

収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

「Kyrie」で最初に耳に入った声を、一つだけ追ってみてください。ほかの声が加わったあとも、その旋律は続いているでしょうか。途中で見失っても構いません。新しく聞こえた線から始め直せばよいのです。同じ歌を大勢で大きくするだけではない、合唱の面白さが見えてきます。高い音が際立つ瞬間だけでなく、別々に進んでいた声が同じ方向を向くような瞬間にも、耳を置いてみましょう。

選んでいるのはピーター・フィリップス指揮、タリス・スコラーズの1980年録音です。案内する配信はそのリマスターで、同じ演奏者による後年の再録音とは異なります。また、パレストリーナだけの単独盤ではなく、アレグリとマンディの作品も収録されています。全46トラックという表示は細かな区分を数えたもので、独立した46曲が並ぶ意味ではありません。目当てのミサは21番から始まります。トラックの境目で毎回止めるより、同じ楽章の区分は続けて聴くと、途中の息づかいと一つの終わりの違いもつかみやすくなります。

二度目は低い声を選ぶ

初めは高く明るい声が耳に残りがちです。次に聴くときは低いところで続く線を選ぶと、上の声が動く間に土台がどう保たれるか、全員が同時に休む場所はどこか、と違う発見ができます。楽器がないから音が少ない、とは限りません。一方、整った合唱が誰にとっても安らぎになるわけではありません。残響で言葉が遠く感じられたら、少し音量を下げ、一つの楽章だけ聴く方法もあります。すべての声部を当てる必要はありません。

有名な伝説をいったん脇へ

このミサが、複雑な教会音楽の禁止を食い止めたという話が伝わっています。しかしフィリップスの解説自体が、その話を確かな歴史として扱ってはいません。偉大な救済の物語を先に置くより、「Gloria」の長い言葉がどう進むかを聴いてみましょう。短い祈りを繰り返す「Kyrie」と並べると、言葉と音の関係が身近な違いになります。教会の政治史を予習しなくても、声の流れから入れます。

名声よりも声と空間を

ジメルはこの演奏を最初の録音とし、英国HMVのクラシック・チャートで1位になったと記しています。特定の市場での成果であり、世界中の聴き手が同じ評価をした証拠ではありません。今聴くときは、歌が止まったあとに残る響きまで一つの文として受け取ってみてください。そして最後の「Agnus Dei」へ戻ると、終わり方の印象も変わるかもしれません。併録曲まで一度に完走しなくても、ミサだけでこの録音と出会えます。

曲からたどるアルバム

21番からミサを続けて聴くか、冒頭と最後を比べてみてください。試聴だけでは声が積み重なる全体までは分かりません。

  1. Missa Papae Marcelli: 1a. Kyrie eleison I

    最初に聞こえる線を選び、別の声が入ったとき、前の旋律がその下で続くかを追ってみてください。ミサの初めの短い慈悲の祈りは、長い物語を語る歌とは違う時間を作ります。この曲が教会音楽を救ったという伝説を証明しようとする必要はありません。フィリップスの解説も、その話を確かな歴史としては扱っていません。少ない言葉から多くの動きが生まれることを、まず楽しめばよいでしょう。この配信ではKyrieが三つに分かれています。次のChristeと戻ってくるKyrieまで続けて、最初の呼びかけがどのように帰ってくるかを聴いてみてください。短い試聴は楽章の入り口です。

    参考資料 · Gimell CDGIM639: recording, remaster and Peter Phillips notes
  2. Missa Papae Marcelli: 5b. Agnus Dei II

    最後は目立つ高い声より、ほかの線を追う声に注目してみてください。解説はこの部分で声の配置が変わり、互いを追いかける構造が使われると説明しています。難しい名称を覚えなくても、似た動きが違う高さで現れるところを探せます。直前のAgnus Dei Iと比べると、静かな終わりにも変化があると感じられるでしょう。これは選んだ1980年演奏のミサの終結で、同じ合唱団の別録音と同一ではありません。安らぎとしても、願いを重ねる声としても聴けます。最後の残響が小さくなるまで待ち、どちらの印象が残るか確かめてください。感動の仕方を先に決める必要はありません。

    参考資料 · Gimell CDGIM639: recording, remaster and Peter Phillips notes

次に聴く一枚

次はタリスの《Spem in alium》へ。声部の数が増えたとき、歌の線どうしの出会いがどう変わるかを比べられます。

Tallis: Spem in Alium ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。