フォーク・カントリー / ブリティッシュ・フォーク · 1969
Basket of Light
Pentangle
この一枚を聴く理由
伝承歌と新作を、アコースティック楽器の細かな役割分担で組み直す。旋律の親しみやすさと合奏の複雑さが同時に聴ける。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
『Basket of Light』のアコースティックという言葉は、単純で静かな音楽という意味ではない。ギター、ベース、打楽器が別々の動きを作り、歌がそれらを曲としてまとめていく。拍子を数えられなくても、小さな編成が速度感や形を変える面白さは追える。
中心はシェル・タルミーが制作した1969年の原アルバム9曲。バート・ヤンシュ、ジョン・レンボーン、ジャッキー・マクシー、ダニー・トンプソン、テリー・コックスが、新作、伝承歌、既存のポピュラー曲を扱う。リンク先のSanctuary盤は全13曲だが、原作は「House Carpenter」で終わる。その後の4曲は追加資料であり、同じ題名が繰り返される部分も原作の配置と混同しない。
親しみやすい旋律の内側で
「Light Flight」は短く覚えやすい入口を作りながら、拍の向きに耳を引きつける。ベースを低音の補充、ギターをコードの伴奏とだけ考えると、それぞれの動きを聴き逃しやすい。まず一つの楽器を追い、それから歌へ戻ってみよう。同じ箇所でも中心を変えると別の形が見える。旋律がすぐ耳に残ることと、編曲が単純であることは同じではない。複数の動きが同時に分かるよう組まれたこの曲は、後の長い曲を聴くための小さな手引きにもなる。
長さが曲の構造を変える
約6分40秒の「Hunting Song」は、冒頭より広い時間を使う。長いソロを付け加えたものと決めず、戻ってくる部分と新しい部分の関係、歌と楽器の比重の変化を追いたい。次の「Sally Go Round the Roses」へ進むと、バンドが一種類の伝承歌の雰囲気だけに留まらないことも分かる。異なる出自の素材を同じ色で塗るというより、それぞれの曲に合わせて五人の関係を組み直している。最初から歌詞の全体を理解しようとせず、繰り返しと変化の場所を聴くのもよい入口だ。
最後に変わる弦の響き
「House Carpenter」ではバンジョーとシタールが弦楽器の組み合わせを変える。ヤンシュとレンボーンを、全曲で同じようにギターを弾く二人と考えないほうがよい。弦を弾いた瞬間の音と、その後に残る響きを前の曲と比べてみよう。古い物語を歌うという事実だけでは、この演奏の特徴は説明しきれない。どんな楽器で物語を取り囲むかも録音の性格を作る。最初はここで止めて原作の終わりを確かめ、その後に追加4曲へ戻りたい。同じ題名の「Sally」がさらに二つ続くのは追加資料の領域であり、原アルバムが同じ歌を三度配置したわけではない。
曲からたどるアルバム
「Light Flight」で一つの楽器を追ってから合奏に戻る。「Hunting Song」の長さと「House Carpenter」の弦楽器の違いを比べる。
Light Flight
冒頭の約3分14秒は、親しみやすい旋律と落ち着かない合奏の運動を同時に持つ。拍子の名前を覚える前に、歌の下でベースとギターがどこを強調するかを追ってみよう。二度目には別の楽器へ注意を移すと、一つの流れに聴こえたものが複数の活動に分かれてくる。生楽器だから穏やかな背景音楽になるとは限らない。短い曲の中で耳の向きを何度も変える編曲だからだ。続く「Once I Had a Sweetheart」まで聴けば、最初の活発な入口だけでアルバム全体を判断せずに済む。覚えやすい歌と複雑な演奏の関係を、この二曲の並びから考えてみたい。
参考資料 · Bert Jansch official discography: Basket of Light original and expanded editionsHouse Carpenter
9曲目は伝承歌を独自の弦楽器編成で扱い、原アルバムを閉じる。ここでヤンシュはバンジョー、レンボーンはシタールを弾くため、二人が全曲でギターを担当すると考えるのは正確ではない。楽器名が分からなくても、弦を弾く瞬間とその後の共鳴を比べながら聴ける。物語が古いという事実だけでなく、選んだ楽器の組み合わせもこの録音の特徴だ。最初は曲が終わったところで一度止め、結末を確かめたい。後から追加4曲を別に聴くと、資料が増えることの価値と原作のまとまりを両方見られる。伝承歌にも編曲ごとの違いがあることを意識できる終曲だ。
参考資料 · Mainly Norfolk: album personnel and track-specific instruments
次に聴く一枚
『Liege & Lief』の電気編成と比べれば、伝承歌を作り直す方法が楽器と規模によってどう変わるかが分かる。
Bert Jansch ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。