GROOVE ARCHIVE
← フォーク・カントリー
The North Star Grassman and the Ravens

フォーク・カントリー / ブリティッシュ・フォーク · 1971

The North Star Grassman and the Ravens

Sandy Denny

この一枚を聴く理由

伝承の語り口を新しい作曲へ広げ、バンドと弦楽編曲の違いからデニーを歌手と作曲者の両方として聴ける。

音楽と一緒に読む

収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

『The North Star Grassman and the Ravens』では、古い物語のような歌が必ずしも伝承曲とは限らない。サンディ・デニーの自作と受け継いだ素材が並び、ギター・バンドの動きと弦楽編曲が異なる規模を作る。特徴的な声を知ることと同じくらい、誰が曲を書いたかも大切になる一枚だ。

デニー、リチャード・トンプソン、ジョン・ウッドが制作した1971年の原アルバムは11曲。フェアポート・コンヴェンションとフォザリンゲイを経たソロ作だが、一人でギターだけを弾き語る盤ではない。リンク先のIslandリマスター15曲盤では12–15曲目が追加資料となる。原作は「Crazy Lady Blues」で終わり、後の「Late November」別ミックスや「Next Time Around」のNo Strings版を本編と混同しない。

古い語り口で書く新しい歌

「Blackwaterside」は伝承曲だが、「Late November」と表題曲はデニーの作曲を示す。昔話のような題名やイメージがあるからといって、すべて作者不詳のバラッドに分類してはいけない。象徴を一つずつ正解に置き換えるより、旋律が進む方向と戻ってくる句を追ってみよう。知らないイメージがあっても曲の形は聴ける。デニーは受け継いだ歌を解釈する一方で、自分が書いた歌の輪郭も決めている。その二つの役を同時に意識したい。

面が変わる場所で編曲も聴く

トンプソンのギターとハリー・ロビンソンの弦楽編曲は、同じ役の装飾ではない。「John the Gun」から「Next Time Around」へ進むと、原LPではここで面が変わる。配信ではすぐ続くが、その境目を覚えると後半の開き方を考えやすい。歌の旋律を長く続く弦の音がどう囲むかに耳を向けよう。弦楽器が入るから単に柔らかい曲になる、と結論を急がないほうがよい。伴奏の持続と歌の句が、別の大きさの動きを作ることもある。

一種類の憂いだけにまとめない

同じ盤には「Down in the Flood」と「Let’s Jump the Broomstick」もある。全体を神秘的で寂しい音楽としてだけ記憶すると、別の推進力が見えにくくなる。表題曲も最後ではなく10曲目で、その後の「Crazy Lady Blues」までが原作だ。後の人生を知っていても、すべての言葉を悲劇の予告として読む必要はない。異なる出自や動きの曲が一枚を作る、その順序を先に聴こう。ソロ名義は仲間の演奏が消えることより、曲を選び、書き、歌う本人の視点が中心へ出ることとして受け取れる。

曲からたどるアルバム

5曲目John the Gunと6曲目Next Time Aroundの間の原LPの面替わりを意識し、11曲目で原作の終わりを確認する。

  1. Late November

    冒頭は約4分29秒の原アルバム版で、再発盤の後にある別ミックスとは区別する。古い伝承バラッドではなく、デニーが書いた曲と知ることが入口だ。すべてのイメージを解読する前に、旋律の進み方と戻ってくる部分を追ってみたい。ギターとリズムの伴奏は、ソロ作が必ずしも一人の弾き語りではないことも示す。表現を特定の人物や事件に一対一で結びつけなくても、曲の緊張と流れは聴ける。続く伝承曲「Blackwaterside」まで進めば、新作と受け継いだ素材が隣り合う効果も分かる。古いように響く印象と、実際の作曲の出自は別の問題として扱いたい。

    参考資料 · Sandy Denny official biography: songwriter and 1971 solo album
  2. Next Time Around

    6曲目は原LPのB面を開く、弦楽編曲を含む約4分22秒のアルバム版。15曲目の約4分46秒のNo Strings追加版とは区別する。題名に楽器の有無が示されても、他の条件がすべて同じと決めつける必要はない。まず本編で歌の旋律と持続する弦の関係を追おう。伴奏は音を大きく飾るだけか、それとも句の方向や重さも変えるのか。前の「John the Gun」から移る時の規模の差も手がかりになる。言葉を伝記的な暗号としてだけ解かず、この編曲が後半の入口でどんな速さを示すかを聴くとよい。曲順と楽器の組み合わせを一緒に考えられる一曲だ。

    参考資料 · Proper Records: original eleven-track sequence and arrangements

次に聴く一枚

『Liege & Lief』と比べ、伝承を歌う声がソロ作曲と異なる編曲の中でどう働くかを聴く。

Liege & Lief ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。