ジャズ / 初期ジャズとニューオーリンズ · 1927
Singin' the Blues
Bix Beiderbecke
この一枚を聴く理由
速さよりも、短い旋律の言い回しが耳に残る。サックス、コルネット、ギターのやり取りから初期ジャズに近づける一枚です。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
まず「Singin’ the Blues」で、前に出る楽器が交代する瞬間を待ってみてください。サックスの話し方を覚えてからコルネットに耳を移すと、同じ伴奏の上でも表情が変わります。ビックス・バイダーベックの名を掲げた選集ですが、フランク・トランバウアーとギターのエディ・ラングにも注目すると、一人の名演を鑑賞する以上の楽しみが見えてきます。全員の名前を暗記する必要はありません。気に入った声を一つ見つけるところから始められます。
この項目の1927年は録音の時期を示しており、当時20曲入りのLPが発表されたという意味ではありません。リンク先はAppleで1990年と表示される《Bix Beiderbecke, Vol. I – Singin’ the Blues》。約一時間、20トラックの後年の選集です。もとは短いレコードの片面として接した音楽が、別のまとまりで並んでいます。現在のアルバムのように、全曲が一つの物語を作るよう企画されたと考えなくても大丈夫です。好きな曲から前後へ進む聴き方が似合います。
ギターが埋めない場所を聴く
タイトル曲では、トランバウアーのサックスの下でエディ・ラングが弾くギターを追ってみたい。セイガーが指摘するように、和音を厚く重ね続けるのでなく、単音で独奏を支えるところが多い。伴奏が場所を空けると、前の旋律は聞き取りやすくなるだろうか。続いてビックスが入ったら、最初の音の輪郭をサックスと比べてみる。コルネットはトランペットに近い金管楽器だが、名前を当てるより、同じ場所で話す人が替わったと感じることから始められる。
名盤になる前の評価も一様ではない
米国議会図書館のデイヴィッド・セイガーは、この演奏が音楽家に与えた影響を紹介する一方、1927年の雑誌に好意的でない評が載ったことも記しています。現在の評価をそのまま発売当時の総意にしてはいけないのでしょう。同業者が何度も聴きたくなる演奏でも、別の聴き手には届かないことがある。その違いも録音の歴史の一部として読めます。ここでは勝ち負けを決めるより、最初は通り過ぎた曲が後から気になる、そんな自分の経験に重ねてみると身近になります。
一時間を一度に聴き切らなくても
最初は「Clarinet Marmalade」とタイトル曲だけを続けて聴き、どちらに戻りたくなるか試してください。前景の楽器が次々に変わる面白さと、一人の旋律にしばらく付き合う楽しさでは、耳の置き場所も変わります。気になったら他の曲へ進み、伴奏との関係を比べてみる。録音の狭い音の幅に慣れる時間も含めて、少しずつ開く選集です。新しい録音と音質を競わせるより、数分の中にもう一度聴きたい言い回しがあるか。それが見つかれば、歴史的な評価とは別に自分の入口ができます。
曲からたどるアルバム
タイトル曲でサックスからコルネットへの受け渡しを聴き、Clarinet Marmaladeと比べてみてください。試聴は曲の一部です。
Singin' the Blues
サックスが作った空気を覚えたまま、コルネットが入る瞬間を待ちましょう。同じ言葉を繰り返さなくても会話が続くように聴けます。1927年2月4日のこの録音について、セイガーは独奏が後の編曲や録音に取り入れられた例を紹介しています。曲名だけでなく、その場で作られた旋律自体が聴き直す対象になったのです。まず覚えて帰りたい短い一節を探し、次はその下のギターに注目してみてください。有名な独奏を合奏の一部として聴く方法になります。2005年の国家録音登録簿への選定は後年の保存上の判断で、1927年の売上順位ではありません。名声を確認するより、自分の耳に残る一節へ戻ってみましょう。
参考資料 · Library of Congress: David Sager, Singin’ the Blues retrospective and contemporary reviewClarinet Marmalade
タイトル曲の後では、短い独奏のたびに耳の焦点が動くことを楽しんでみてください。一つの声を長く追う聴き方とは違う入口があります。この曲は「Singin’ the Blues」と当時のレコードの両面を成していました。今の選集で二曲を比べる際も、一枚を裏返して聴いた組み合わせと思うと具体的になります。セイガーが紹介する1927年の雑誌評は両面に好意的ではなく、現在の評価が当初から満場一致だったわけではありません。その評を否定するために聴く必要はないでしょう。自分にはどちらの動きが心地よいか選び、再び聴くと別の奏者に気づくか試してみてください。題名を直訳して物語を想像するより、音の交代が手掛かりになります。
参考資料 · Library of Congress: David Sager, Singin’ the Blues retrospective and contemporary review
次に聴く一枚
アームストロングのHot Fives & Sevensへ。短い独奏が記憶に残る方法を比べ、異なる声を優劣の競争にしない聴き方を楽しんでください。
Hot Fives & Sevens ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。