ジャズ / モード・ジャズ · 1962
Waltz for Debby
ビル・エヴァンス・トリオ
Waltz for Debby · Bill Evans Trio
この一枚を聴く理由
バラードから入り「Milestones」で終わる六曲の選択が、親密さだけではない三人の姿を描く。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
《Waltz for Debby》の最初に流れるのは表題曲ではなく、「My Foolish Heart」だ。その旋律で三人の響きに触れてから、エヴァンスが姪に捧げた作品へ進む。そして最後にはマイルス・デイヴィス作の「Milestones」が待っている。優しい題名から静かな小品集を想像しても、曲順はその印象だけを保ち続けない。始まりと終わりを一緒に考えると、このトリオの幅が見えてくる。
1961年6月25日、ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードで録音し、アルバムは1962年に発表された。ピアノのビル・エヴァンス、ベースのスコット・ラファロ、ドラムのポール・モチアンが参加。同日の《Sunday at the Village Vanguard》とは異なる六演奏を選ぶが、二枚の原盤で午後と夜の五セットをすべて網羅するわけではない。ここでは原盤の六曲を保った2023年Craft再発を用いる。同じ三人の同じ日でも、選曲によって一枚の性格は変わる。
自作は表題曲だけ
表題曲は1956年の《New Jazz Conceptions》ですでに録音していたエヴァンス自身の作品。一方、ほかの五曲は別の作曲家による。「My Foolish Heart」のヴィクター・ヤング、「My Romance」のリチャード・ロジャース、「Some Other Time」のレナード・バーンスタインなど、異なる作者の音楽を三人の演奏へ移す。個性的な響きは自作曲の数だけで決まらず、何を選び、どう並べるかにも現れる。
親しい旋律を長く広げる
表題曲はこの提供版で約六分五十八秒。「Detour Ahead」と「My Romance」は七分を超える。小さく親しみやすい題名と、実際に即興を広げる時間は同じではない。覚えた主題を基準にすると、ピアノが旋律を延ばす間にベースが別の方向を示す意味も考えやすい。リズム楽器を静かな額縁にしてピアノだけを見るより、三人で曲の広さを変えていると捉えたい。曲ごとの長さの違いも、その選択の一部になる。
穏やかな出発の先へ
五曲目の「Some Other Time」の後には「Milestones」がある。最初のバラードだけを繰り返すと見えにくい、終盤の転換だ。まず原盤の終点まで聴いてから別テイク入りの版へ進むと、編集順序の意味も明確になる。客席の物音から観客の無関心まで断定する必要はない。誰かの心を推測するより、同じ場所で鳴らされた六つの演奏の違いを受け止める方が具体的だ。親密さと運動感をともに含む選曲として、一枚の輪郭が残る。
曲からたどるアルバム
「My Foolish Heart」から表題曲へ進み、最後の「Milestones」まで聴いて、最初の印象がどこまで広がるか確かめよう。
Waltz for Debby
この作品はヴィレッジ・ヴァンガードの一日のために初めて作られたものではなく、1956年の《New Jazz Conceptions》ですでに録音されていた。ここではラファロとモチアンを伴うテイク2を選び、約七分に展開する。姪への献呈という背景は親しい入口だが、短い記念の小品と決める必要はない。旋律を知っていることと、この三人が次に何をするか知っていることは別だ。「My Foolish Heart」の後に置く順序も面白い。リーダーの自作を最初に掲げるのでなく、合奏の響きに触れた後でその曲を提示する。同名の別テイクと比較するときも、一つの演奏の選択として聴き分けたい。
参考資料 · Concord — New Jazz Conceptions and the first recording of Waltz for DebbyMy Foolish Heart
ヴィクター・ヤングの曲が、表題曲に先立ってトリオを紹介する。ピアノの旋律が印象に残っても、ベースとドラムはただ背景を静かにする存在ではなく、この速度で音楽を動かす仕事を共有している。提供版では約四分五十九秒。後に続く長い演奏より短いが、盤全体を聴く基準になる。伸びた音の後に次の句が入る瞬間を意識し、そのまま「Waltz for Debby」へ進むと、同じ三人が別の曲を始めるときの違いが分かる。あらゆるジャズ・バラードの規範という評価から入らず、一枚の最初に何を提示する曲なのかを考えたい。終曲まで進んで戻れば、この出発点の役割もさらに明瞭になる。
参考資料 · Qobuz / Craft — six-track 2023 programme, take numbers and credits
次に聴く一枚
《Kind of Blue》ではエヴァンスがマイルス・デイヴィスのより大きな編成に加わる。管楽器のいる場での役割と、このトリオのリーダーとしての選択を比較できる。
Kind of Blue ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Craft Recordings — six-track digital OJC remaster and 1962 original release · craftrecordings.com
- Bill Evans official site — 2023 reissue, recording date, repertoire and dedication · billevansofficial.com
- Qobuz / Craft — six-track 2023 programme, take numbers and credits · www.qobuz.com
- Concord — New Jazz Conceptions and the first recording of Waltz for Debby · concord.com
- Apple Music — six-track 2023 Craft delivery · music.apple.com
- Concord — complete five-set Village Vanguard recording · mediakits.concord.com