ジャズ / 初期ジャズとニューオーリンズ · 1989
Quintette du Hot Club de France
ジャンゴ・ラインハルト&ステファン・グラッペリ
Quintette du Hot Club de France · Django Reinhardt & Stéphane Grappelli
この一枚を聴く理由
短く刻むギターと長くつながるヴァイオリン。同じ拍を支える音と、その上を進む音を別々に追ってみましょう。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
「Dinah」では、最初から速い指の動きだけを追わなくても楽しめます。短く繰り返す伴奏を覚えてから、その上へ伸びる旋律に耳を移してみてください。ジャンゴ・ラインハルトとステファン・グラッペリの音楽は、どちらが多くの音を出すかという競争より、一人が空けた場所をもう一人がどう使うかを聴くと近づいてきます。弦をはじく音と、弓でつなぐ音の長さの違いが入口になります。
ここで案内するのは1989年の表記を持つ全26曲の選集です。題名はグループ名でもあるので、同じ言葉を使った別の盤とは曲数も確かめて区別してください。1989年の新録音や、一度の公演を意味するものではありません。フランス国立図書館は、この選集にもあるLilly Belle May JuneとSweet Sueを、別の1935年録音集の目録に載せています。ただし、その目録だけで現在の配信版全体の録音日を決めることはできません。
弦楽器が違う仕事をする
このグループを代表する編成は、ヴァイオリン、三本のギター、コントラバスです。短い和音が拍を支えるあいだ、別の楽器は長い文を作れます。パリの音楽博物館の展示資料は、弦楽器のグループと、アフリカ系アメリカ人のジャズ奏者との交流を合わせて紹介しています。ヨーロッパで孤立して生まれた発明と考えるより、出会いの中で役割が変わる音として聴いてみましょう。ドラムを待たずに伴奏の輪郭を追えます。
選集の中に自分の道を作る
Tiger RagとBlue Dragを比べたら、後半のDjangologyへ進んでみてください。速いという印象だけでなく、音が始まる形と止まったあとの空間を覚えておくと役立ちます。二十六曲を一度に暗記する必要はありません。二曲で見つけた小さな違いを持ち帰り、休んでから別の曲へ戻ってもよいのです。同じ音色が別の場所で現れたとき、前に気づいた癖がまた聞こえるか。その問いが次を選ぶ手掛かりになります。旋律を追う日と伴奏を追う日を分けてみると、同じ短い演奏から別の細部が見えてきます。
当時の宣伝と後年の展示
博物館の資料は、1934年の最初の公演の宣伝が、新しい形のジャズであることを打ち出したと説明します。それは当時の紹介の仕方であり、すべての聴衆の感想を集めた結果ではありません。2012年に始まった回顧展は、さらに後の評価です。その名声を先に受け入れなくても、はじく弦と弓で弾く弦が同じ拍を違う長さで進む瞬間を見つけられます。気になる応答を一つ覚えれば、自分の耳で戻る理由になります。
曲からたどるアルバム
Dinahでは短い伴奏を先に追い、Djangologyではその上の旋律へ注意を移してみましょう。
Dinah
伴奏が短く戻る場所を探し、その動きを覚えてください。次に聴くときは上を通る長い音へ耳を移すと、同じ拍の感じ方も変わるでしょうか。全員の名前と楽器を一度に当てる必要はありません。はじいた音の始まりと早い減衰、弓でつないだ線の長さを比べるだけでも十分です。速い句が出たら音符を数える代わりに、どこで休むかを追ってみましょう。技術を遠くから眺めるより、次の文を待つ楽しみに近づけます。この版の最初に置かれた曲なので、覚えた伴奏の小さな形を、後の曲でも探してみてください。長い選集に戻るための目印が一つできます。曲の順番を全部記憶しなくても使える聴き方です。
参考資料 · Apple Music: Quintette du hot club de France, 1989 twenty-six-track editionDjangology
前の数曲を聴いてからここへ来て、聞き覚えのある音色がどの方向へ進むかを確かめてください。同じ楽器でも句の止まる場所まで同じとは限りません。フランス国立図書館はDjangologyを1935年の録音集の巻名にも使っていますが、それで今の配信版全曲の年代が決まるわけではありません。演奏の途中では、伴奏が続くあいだに前景の音が空けた場所を聴いてみましょう。次の線が戻ると重さが変わって感じられるでしょうか。一度目は旋律、二度目はその下の動きを中心にして、同じ曲の中で注意を移せます。音符を書き取ったり、独奏者に順位をつけたりしなくても、比較の楽しみが生まれます。
参考資料 · Bibliothèque nationale de France: Intégrale Django Reinhardt 3, Djangology, 1935 recordings
次に聴く一枚
シドニー・ベシェの選集へ。弦楽器のやり取りのあとで、管楽器が長い句をつなぐ方法を比べられます。
The Best of Sidney Bechet ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Apple Music: Quintette du hot club de France, 1989 twenty-six-track edition · music.apple.com
- Cité de la musique: Django Reinhardt, Swing de Paris, 2012 exhibition press dossier · www.citedelamusique.fr
- Bibliothèque nationale de France: Intégrale Django Reinhardt 3, Djangology, 1935 recordings · catalogue.bnf.fr