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ゲッツ/ジルベルト

ジャズ / ブラジルとラテン · 1964

ゲッツ/ジルベルト

スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト

Getz/Gilberto · Stan Getz & João Gilberto

この一枚を聴く理由

小さな歌声、ギターのリズム、長く流れるサックス。それぞれが自分の場所を保つ合奏です。くつろいだ表面の下で、言葉と拍が出会う細かな動きを聴けます。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

大きな声ではないのに、語尾が耳に残ります。ギターは小さな音で曲を前へ送り、サックスが入ると同じ部屋が少し広くなるように聞こえる。『ゲッツ/ジルベルト』は、大きな山場よりも音の距離と語り口の違いで耳を引く一枚です。よく知る旋律でも、今日はどの楽器を追うかを変えるだけで新しい表情が見えます。

スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトの録音は1963年3月のニューヨークで行われ、アルバムは1964年に発表されました。アントニオ・カルロス・ジョビンの曲とピアノ、アストラッド・ジルベルトの歌も重要です。題名の二人だけで、すべての役割は説明できません。アメリカのサックス奏者がブラジルの音楽を新しく作った、という物語より、すでにある歌と奏法がどう出会ったかを聴くほうが、この音楽を広く捉えられます。追加曲のある再発盤もありますが、まずは八曲の元の流れから入ると、一枚の輪郭をつかみやすくなります。

小さなギターが曲を動かす

柔らかなサックスや有名な旋律を追う前に、ギターへ少し耳を置いてみましょう。繰り返す伴奏の強調と、声が入る位置とのあいだには細かな違いがあります。強く打たなくても身体が動く理由を、そこに感じられます。ボサノヴァをくつろぐ雰囲気とだけ考えると、この精密さが隠れてしまいます。小さな音の中でもいろいろなことが起きている音楽、と捉えると、音量を上げなくても発見が増えます。リズムの用語を知ることは、そのあとでも遅くありません。

三つの語り口を並べて聴く

ジョアンの歌、アストラッドの声、ゲッツのサックスは、同じ旋律の周囲に違う距離を作ります。誰が一番うまく表現したかを選ぶより、短く話すところと長く続けるところを比べてみてください。ジョビンのピアノまで追うと、よく知られた声のあいだに残る空間も聞こえてきます。互いを似せることだけが合奏ではありません。それぞれの音のままで曲が自然につながる。その関係は、聴き慣れたあとにも楽しめる部分です。

知っている一曲から、その先へ

1965年のグラミーではアルバムが年間最優秀アルバム賞を、「イパネマの娘」が年間最優秀レコード賞を受けました。アメリカでの当時の受容を確かめる記録ですが、ブラジル音楽全体の価値を決める基準ではありません。一曲を知っていて来たなら、その先の歌も続けてみましょう。同じアルバムでも声と楽器の配置は違って届きます。馴染んだBGMを耳の前に戻すのに必要なのは、大きな音ではなく、一つの楽器に少し集中することかもしれません。聴く側の小さな変更が、録音の細部を見せてくれます。

曲からたどるアルバム

知っているサビを待つより、ギターの反復と声が出会う位置を追ってみましょう。同じ音の組み合わせも、曲が変わると違って聞こえます。

  1. The Girl from Ipanema/イパネマの娘

    1965年のグラミー年間最優秀レコード賞という、広い聴衆へ届いた具体的な記録を持つ曲です。ただし受賞だけでは演奏の魅力を説明しきれません。アルバム版ではポルトガル語と英語の声、ギターとサックスがどう続くかを追ってみてください。馴染んだ旋律でも言葉の長さが変われば、リズムの感じ方も変わります。イパネマを漠然とした休暇の景色にせず、ブラジルの歌と奏者が中心にいることも覚えておきたいところです。短く編集されたシングルや別の歌手で知っていた人には、このアルバムの流れに戻るだけでも、新しい聴き方が開けます。

    参考資料 · Recording Academy: 1965 awards
  2. Corcovado

    ジョビンのアーカイブは、この曲にもアストラッドが参加したと記録しています。最初の曲の有名さに隠れやすい、声の別の場所を聴く機会になります。歌が入る前後の空白と、ギターの続ける動きに耳を置いてみてください。小さなフレーズを大げさにしなくても表現は生まれます。アルバムの受賞をこの曲単独の実績に置き換える必要もありません。ヒット曲のあとに同じ雰囲気が続く、と思わず、語尾の長さや楽器が前に出る瞬間の違いを聴いてみる。静かな歌をBGMとして流していた人にも、この一曲だけ声とギターの距離を追う楽しみがあります。

    参考資料 · Instituto Antonio Carlos Jobim: original album archive

次に聴く一枚

『Buena Vista Social Club』では別の地域と伝統の声やリズムを聴けます。ブラジルとキューバを同じ音楽にまとめるのでなく、合奏の小さな違いを楽しむ耳を広げる提案です。

Buena Vista Social Club ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。