ポップ / 1990年代ポップ · 1993
Tuesday Night Music Club
シェリル・クロウ
Tuesday Night Music Club · Sheryl Crow
この一枚を聴く理由
会話のような歌と軽い足取りの奥に、共同制作とトランペットの寄り道まで広がるデビュー作。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
「All I Wanna Do」の歩くようなリズムと話しかける歌は耳に残りやすい。しかし『Tuesday Night Music Club』は、その明るい運動で終わらない。直後の「We Do What We Can」ではトランペットが別の風景を開き、最後の「I Shall Believe」はさらに長く語りかける。九曲目のヒット曲から続く二曲まで聴くと、この音盤の余裕は単なる軽快さより広い意味を持つ。馴染みの曲が全体のどこにあるかを知り直すことが、最初の発見になる。
1993年のデビュー作を制作したのはビル・ボトレル。題名になった集まりにはデヴィッド・ベアウォルド、デヴィッド・リケッツ、ケヴィン・ギルバートらが参加した。クロウは当時の資料で、アイデアを共有する仲間との制作を歓迎している。一人の歌手の名で出た作品でも、各曲の共同作曲者は周囲の複数の手を示す。誰か一人が全部を作ったという物語より、材料を渡し合う方法を考えると、題名が制作のあり方に近づいてくる。
最初の四曲が開く入口
「Run, Baby, Run」の大きく開く旋律から、「Leaving Las Vegas」のゆったりしたリズムへ移る。「Strong Enough」はアコースティック・ギターの小さな反復で規模を絞り、「Can’t Cry Anymore」は再び軽快に進む。初めから一つの速さや質感に縛られない並びだ。ざらりとした歌の手触りと覚えやすいサビが同居し、一人の歌手が発音や音の大きさを変えながら、四つの違う入口を作っている。
文章がサビへ集まる
中ほどの「Solidify」「The Na-Na Song」には遊びのある表面があり、「No One Said It Would Be Easy」「What I Can Do for You」が別の重みを加える。その後の「All I Wanna Do」はウィン・クーパーの詩「Fun」を基に作られた。詩の由来は具体的な人や場所へ注意を向ける助けになるが、文学の問題を解くように聴く必要はない。文章が拍の上を長く流れ、短く反復できるサビへまとまる変化そのものが音楽の楽しさである。
トランペットの後に残る結び
「We Do What We Can」では父ウェンデルがトランペットを担当する。よく知られた曲の直後にこの演奏があることが、音盤の幅を示す。ギターを中心に覚えた風景へ別の楽器の線が入り、最後の「I Shall Believe」は題名の反復を長い呼吸で展開する。終わりの二曲は共に五分を超え、アルバムを急いで閉じない。明るいサビを目当てに来た人にも、その後の演奏と締めくくりへ留まる理由を用意した順序だ。
曲からたどるアルバム
All I Wanna Doの話すような節からサビへ進み、次のWe Do What We Canでトランペットが加える線をたどりたい。
All I Wanna Do
十一曲中の九曲目にある約四分三十二秒のアルバム版。ウィン・クーパーの詩「Fun」が材料となり、本人の名も共同作曲者に残る。話すような節では多くの言葉が拍に沿って流れ、サビでは短く明確な形に集まる。同じリズムが続いても、歌の表面が平らにならない理由の一つだ。ギターの短い動きと長く続く歌を合わせて聴くと、気楽な足取りと密な文章が共存する様子が分かる。明るさの中に具体的な人物や場所があり、単なる応援の掛け声とは違う場面を作る。この曲で止めず次のトランペットの曲へ進むと、代表曲が全体を代行しないように道が開ける。長い物語を口ずさめる形にする点も魅力だ。
参考資料 · AGNI: Wyn Cooper author biography and Fun adaptationWe Do What We Can
「All I Wanna Do」の直後にある十曲目で、約五分三十九秒。1994年四月のA&M資料は、トランペット奏者をクロウの父ウェンデルと明記する。そう知ると管楽器の線が雰囲気の飾り以上に、具体的な人の参加として近づいてくる。前の短いサビを一緒に唱える方向から、歌と楽器の句が分け合う重みへ注意が移る。ギターとリズムの土台へ新しい音色が入っても、作品が別の世界へ切断されるわけではない。長めの時間は次の「I Shall Believe」へ結ぶ余地も作る。最後の二曲を続けると、最も有名な曲の後に残した演奏と呼吸が、このデビュー作の性格にどれほど大切か見えてくる。
参考資料 · A&M April 1994 press biography, reproduced original document, page 1
次に聴く一枚
ギリアン・ウェルチの『Time (The Revelator)』へ進み、多人数の共同制作と二人の密接な演奏が、それぞれ歌を組み立てる方法を比べたい。
Time (The Revelator) ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Sheryl Crow official discography: original eleven-track order and release date · sherylcrow.com
- A&M April 1994 press biography, reproduced original document, page 1 · www.onamrecords.com
- AGNI: Wyn Cooper author biography and Fun adaptation · agnionline.bu.edu
- Qobuz: eleven-track album, credits and durations · www.qobuz.com
- Apple Music: current US eleven-track album · music.apple.com