ポップ / 1990年代ポップ · 1996
Travelling Without Moving
Jamiroquai
この一枚を聴く理由
ピアノ、ベース、ストリングスが推進力を分け合い、中央のディジュリドゥが歌中心の流れを変える。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
『Travelling Without Moving』の最初の二曲は、同じ方法で身体を動かすわけではない。Virtual Insanityでは短いピアノの和音が曲線を作り、Cosmic Girlではベースと弦の速い動きが前へ押す。ジェイ・ケイの声が先頭にあっても、伴奏の各線が同時に耳を引く。ベースは低い土台だけでなく、鍵盤とドラムの間を動く旋律として働く。有名な二曲を続けながら、同じ型を複製しない出発である。
一九九六年に発表されたジャミロクワイの第三作。ケイはSound On Soundで、前二作のロンドン録音に対し、この盤では滞在型の制作を行ったと回想した。その共同体的な経験が後に自分のスタジオを作るきっかけになったのであり、後年のChillingtonで本作を録ったという意味ではない。一緒に過ごす時間を含む制作背景は、楽器同士が噛み合う印象を考える手がかりになる。米国では翌年に別の十三曲構成で出ており、ここではその順番を扱う。
最初の二曲にある違い
Virtual Insanityは五分四十秒のアルバム版で、短い編集版より広い枠を持つ。ピアノとベースが違う輪郭を描きながら、その時間を支えられる。次のCosmic Girlは約四分へ縮まり、弦の明るい線とベースの跳躍が細かく動く。同じ拍の中でも、それぞれの高さと長さは異なる。二曲を並べると、踊りやすさという共通点より、動きを作る部品の違いが鮮明になる。
中央で変わる音色の主役
Drifting Alongの後にはDidjeramaとDidjital Vibrationsが続く。ディジュリドゥを中心にしたこの区間は、前半の歌のフックとは違う形で音色を示す。低く持続する響きの表面そのものが関心の中心へ移るのだ。シングルだけを集めて聴くと抜けやすい部分だが、二曲を続けて置くことで、後のタイトル曲が戻る際の動きも新しく感じられる。長い盤の中央を同じ速度と密度で埋めない選択である。
米国版の最後に来る拍
タイトル曲からYou Are My Love、Spend a Lifetimeを通ると、この版はM-BeatとのDo You Know Where You’re Coming From?で終わる。先ほどまでのバンドの運動とは別の、細かいリズムの密度が最後に加わる。冒頭のヒット曲から同じディスコの表面だけが続く作品ではない。短く切る鍵盤、跳ねるベース、長く鳴る管の区間、最後の別の拍が順に中心を分ける。歌の親しみやすさとは別に、こうした交代が全体を聴き直す理由になる。
曲からたどるアルバム
最初の二曲でピアノとベースが動きを分ける方法を比べ、八・九曲目の器楽部分まで進みたい。
Virtual Insanity
第一曲は約五分四十秒のアルバム版で、短いシングル編集とは区別する。ピアノの和音が短く切れながら動くとき、ベースは同じ場所を押すだけでなく別の線を描く。声が柔らかく続いても、伴奏は各自の輪郭を失わない。有名な映像を思い出しやすい曲だが、音だけでも鍵盤と低域の関係は十分に立体的だ。次のCosmic Girlと比べると、速い装飾の密度より、和音が曲がって再びつながる方法から推進力が生まれる。長い枠の中でその関係が歌を支える時間に注目したい。伴奏を背景に隠さず始めた盤は、第二曲で別の形の踊りへ方向を変える。
参考資料 · Sony Music Japan official catalogue: regional programmeCosmic Girl
約四分三秒の第二曲は、第一曲より短く密に前進する。高低を跳ぶベース、上を走る弦、床を保つドラムが、それぞれ異なる役割を持つ。正規配信のクレジットにはケイとアル・ストーンの制作、サイモン・ヘイルの編曲参加が記される。明るい装飾もリズム設計の一部として考えると、声だけが運動を運ばなくてよい理由が見える。Virtual Insanityのピアノ中心の屈曲を受け、違う部品で踊る感覚を継続する曲なのだ。各線を高さと長さで分けて追うと、すぐ覚えられるポップな表面の下に合奏の細部が現れる。単純な反復も、複数の動きが組み合わさる場所として聞こえる。
参考資料 · Qobuz: licensed Work US thirteen-track programme and credits
次に聴く一枚
ChicのC’est Chicへ進み、ギター、ベース、弦がディスコのリズムを分ける別の構成を比べたい。
C'est Chic ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Sony Music Japan official catalogue: regional programme · www.sonymusic.co.jp
- Qobuz: licensed Work US thirteen-track programme and credits · www.qobuz.com
- Sound On Sound: Jay Kay directly recalls residential recording · www.soundonsound.com
- The Eyeopener: contemporary band press-conference reporting · theeyeopener.com
- Apple Music: current Sony US thirteen-track delivery · music.apple.com