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月影の騎士

ロック / プログレッシヴ・ロック · 1973

月影の騎士

ジェネシス

Selling England by the Pound · Genesis

この一枚を聴く理由

大きな器楽場面の隣に短い歌が置かれ、八曲の長さと歌い手の違いがアルバムの比率を変えていく。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

Firth of FifthからMore Fool Meへ進むところは、この盤に入るよい入口になる。大きな器楽の場面の後に、別の規模の歌が現れる。長い曲だけを記憶すると、短い曲が作る割合を見失いやすい。鍵盤とギターで旋律を広げる瞬間と、声が簡潔な曲の中心を保つ瞬間を一緒に聴いてみよう。どちらが複雑で進歩的かを決めなくても、隣に並ぶことで互いの性格が見えてくる。八曲の大きさが同じではないこと自体が、聴く順番に意味を与える。

一九七三年、ピーター・ガブリエル、トニー・バンクス、スティーヴ・ハケット、マイク・ラザフォード、フィル・コリンズによるジェネシスが発表した作品。歌のすべてをガブリエルだけで説明することはできず、More Fool Meではコリンズがリードを取る。今回選ぶ現行八曲配信は同じ一九七三年録音の後年のリミックスである二〇〇七年ステレオ・ミックスで、権利情報は二〇〇八年。原一九七三年ミックスとして紹介するものではない。作品の発表年と、今聴く配信のミックス名を分けて受け止めたい。

旋律が楽器を変える

Firth of Fifthは有名なギターだけで出来ているわけではない。ピアノ、歌、器楽の展開を一つの道として聴こう。ハケットは旋律をピアノやフルートからギターへ移して扱った過程を振り返っている。音を出し、伸ばす方法が変われば、同じ線も異なる表情を持つ。ギターが始まるまで他の楽器を記憶から消してしまわない方がよい。そこへ至る準備を残すと、独奏が切り離された見せ場ではなく曲の構成として聴こえる。

短い歌の位置を残す

直後のMore Fool Meでは、簡潔な形の中でコリンズの声が中心を取る。次の大曲までの休憩とだけ考えず、短い時間が要求する別の集中に耳を向けたい。後半では長い二曲の間にAfter the Ordealが置かれ、最後には短いAisle of Plentyが残る。長さは芸術的な価値の順位ではなく、一枚の釣り合いを作る条件だ。八つの同じ大きさの場面として扱うより、並びによって期待する規模がどう変わるかを聴いてみよう。

物語から演奏へ注意を移す

英国のイメージが多いという紹介だけで、すべてを同じ物語へまとめる必要はない。歌の場面を追うことと、楽器による旋律の発展を追うことには違う楽しさがある。どこで声が長く中心に残り、どこで楽器がそれを受け取るか比較するとよい。最初から言葉の全意味や拍子を解読する必要もない。まず八曲の長さと編成が作る配置を経験しよう。大きな曲から小さな曲へ移るとき、耳の予想も変わることが具体的に分かってくる。

曲からたどるアルバム

Firth of Fifthの器楽展開と直後のMore Fool Meを比べ、八曲全体の長さの配置を聴く。

  1. Firth of Fifth

    有名なギター部分だけを待つのでなく、ピアノから始まる曲の規模をまず聴きたい。ハケットの回想からは、旋律が楽器を変えて表情を得る過程を考えられる。ギターが長く音を伸ばすとき、先に聴いた材料の記憶がどう働くかに注意してみよう。多くの音を速く弾くことと、長い音に方向を与えることは異なる選択だ。ただし印象的なギターによって、歌、鍵盤、リズムの役割まで消してしまわない。そこへ至る道が見せ場の大きさを作る。今回は二〇〇七年ステレオ・リミックスの全トラックで、ハケットの後のソロ公演や再録音を代わりに選んだものではない。

    参考資料 · Steve Hackett official-hosted Guitar Player interview: Firth of Fifth melody and guitar
  2. More Fool Me

    フィル・コリンズがリードを取るこの曲は、直前の長い器楽場面とは別の集中を作る。短くなることで何が前面に残るか、まず聴いてみよう。多くの大きな転換を経る曲とは違い、簡潔な形の中で声が中心を保つ。短いから重要でないと考えると、アルバムの割合を作る役割を見失う。Firth of Fifthの後に続けて聴き、単独で再生する場合との印象の違いを確かめたい。複数の歌い手がいることも、この場所では具体的になる。すべてをガブリエルの声として説明しないための入口だ。今回の選曲は同じ八曲配信の二〇〇七年ステレオ・リミックスで、原発表年とは区別する。

    参考資料 · Qobuz / Rhino: 2007 Stereo Mix track order, complete durations and performance credits

次に聴く一枚

イエスの《Close to the Edge》へ進み、八曲の長さの対照と三曲で組み立てた長い形式を比べる。

Close to the Edge ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。