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At Last!(アット・ラスト)

ソウル / R&B / リズム&ブルースからソウルへ · 1960

At Last!(アット・ラスト)

エタ・ジェイムズ

At Last! · Etta James

この一枚を聴く理由

滑らかな伴奏の中でも、声の手触りは消えない。表題曲から勢いのある歌へ移ると、同じ歌手の別の近づき方が見えてくる。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

「At Last」の弦が聞こえたら、その中へ入る声の手触りを待ってみたい。伴奏が滑らかだからといって、歌も同じ表面になるわけではない。長く保つ音や短く切る言葉が、旋律の中に別の動きを作る。結婚式や映画で知っている曲でも、甘い雰囲気だけを聴く理由にしなくてよい。「I Just Want To Make Love To You」と並べれば、同じ声が違う速度でこちらへ届く。まずは二曲の間で自分の身体の反応がどう変わるか、その小さな違いから入ってみよう。

インタースコープはデビューLPの初発売を1960年と説明する。グラミー資料の1961年は表題曲のシングルに付く年で、両者を分けて読みたい。LPは「Anything To Say You’re Mine」から「Girl of My Dreams」までの十曲。リンク先のApple版はこの順序を保ち、その後にハーヴィー・フークァとの四曲を加えた14曲構成である。初めは十曲目で少し休み、一枚の終わりを感じてから追加曲へ進んでみよう。LPの終点と配信版の終点が違うことは、実際の聴き方にも関わる。後年の権利表示を録音年と読み替えないことも大切だ。

滑らかさと声のざらつき

長く続く伴奏と、声の句が終わる場所を交互に聴いてみる。全体が同じ方向へ流れるのか、歌が少し止まることで表情を変えるのか。感情を大きく示すことだけが歌の力ではない。音をいつ離し、いつ保つかにも注意を置きたい。一度目は声、次は歌のない時間の伴奏を追えば、馴染みのバラードにも二つの動きが見える。楽器の名前をすべて覚えなくても試せる方法だ。最初に好きだと思った部分が、声によるものか周囲の響きによるものか、答えを急がず確かめてみる。

代表曲の外にも場所を残す

表題曲のグラミー殿堂入りは1999年。デビュー盤全体が発売当時に受賞したという意味ではない。後年の評価と、今一枚を聴く経験は別にしておこう。速い曲の後でゆっくりした歌を聴くと、同じ声の質感が違う気持ちに届くこともある。よく知る一曲を確認しただけで終わらず、隣の曲を残してみる。声の勢いと親密さが、必ずしも同じ音量で決まらないことに気づける。

違う歌を自分の言葉にする

ジェイムズは1960年にチェスと契約し、傘下のアーゴで録音した。議会図書館に掲載されたボブ・グラの解説は、この盤をブルースとジャズ、ポップのスタンダードを行き来する初期の姿として捉える。スタンダードとは、多くの歌手がそれぞれの解釈で歌う曲のこと。「Stormy Weather」と「A Sunday Kind of Love」を、ウィリー・ディクソンの曲と並べてみたい。題材が変わっても、語尾の粗さや長く残す音には同じ人の気配がある。曲をジャンルの箱へ戻すより、違う歌がどう一人の言葉になるかを比べると、表題曲の先にも聴く場所が増える。知っている歌の別の歌い手を探す入口としても、この二曲を覚えておくとよい。

曲からたどるアルバム

At LastとI Just Want To Make Love To Youを比較したい。配信版はLPの十曲に続き、ハーヴィー・フークァとの四曲を収める。

  1. At Last

    知っている出だしの後、声が入る瞬間まで少し待ってみる。音がどれほど長く残り、句の終わりで手触りを変えるかに耳を置きたい。グラミーの記録では1961年のシングルとして扱われ、殿堂入りは1999年である。アルバム全体への発売当時の賞と混同しないようにしたい。今聴くときは、その名誉より長い音の表情に戻ろう。安心に聞こえるのか、切実さが残るのか。題名の意味を知っていても、すべてを幸福な気分に決める必要はない。誰かの特別な行事で流れる音楽から、一人で再び選びたい歌へ変わる場所がある。馴染みは細部へ進む入口にもなる。

    参考資料 · Recording Academy: At Last single, 1961 designation and 1999 Hall of Fame induction
  2. I Just Want To Make Love To You

    表題曲から移り、声が拍に触れる仕方の違いを聴く。長く待つ息遣いより、言葉が前へ進む力を先に感じるかもしれない。議会図書館のボブ・グラの解説は、この盤にウィリー・ディクソンの歌が入ることを記す。有名な甘いバラードだけの一枚という印象を広げる手がかりだ。題名の直接的な欲望だけで曲の性格を決めず、句の後に伴奏がどれほど入るかを待ってみたい。次の声より先に身体が拍を感じるだろうか。大きな音だけで力を測らず、短い語尾や応答までの隙間を追うと、歌の勢いは別の形でも届く。二曲を行き来するだけで、声の表情が増えていく。

    参考資料 · Bob Gulla: At Last, Library of Congress guest essay; recording selected in 2008

次に聴く一枚

レイ・チャールズのThe Genius of Ray Charlesへ。豊かな伴奏の中でも残る声の質感を聴き比べたい。

The Genius of Ray Charles ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。