レゲエ・ラテン / ラテンアメリカ · 1975
Racional Vol. 1
チン・マイア
Tim Maia Racional Vol. 1 · Tim Maia
この一枚を聴く理由
長い歌の間に数秒の小品が入り、最後の一曲へ時間が集まる。九曲の形から聴くブラジルのソウル。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
『Racional Vol. 1』では、五分を超す第一曲が終わると、約二十二秒の短い曲が現れる。その後にまた五分ほどの「Bom Senso」が続く。長い歌だけを抜き出しても魅力は伝わるが、この大きさの急な変化まで含めると、アルバムの個性がもっと明確になる。九曲は同じ長さの歌を並べたものではない。
チン・マイアが自身のSeromaから一九七五年に発表した作品である。当時関わっていたCultura Racionalと書物『Universo em Desencanto』の言葉が、曲名にも残っている。宗教との関係を珍しい伝記上の挿話として片付けると、短い曲まで組み込んだ発表当時のプログラムを見落としやすい。ここでは歌の内容だけでなく、その並べ方も作品の入口になる。
第一面の六つの単位
元の第一面は「Contacto Com o Mundo Racional」までの六曲。「Imunização Racional」と「Bom Senso」がそれぞれ五分前後を占め、その間に「O Grão-Mestre Varonil」が入る。さらに第三曲の後には、現行版で約十二秒の「Energia Racional」が置かれる。短い曲を飛ばさずに聴けば、次のまとまった歌が始まる瞬間の意味が変わる。歌と歌の間をただの空白として扱わず、一つずつ異なる規模の単位が続く構成を確かめたい。
三曲で作る第二面
後半は「Universo em Desencanto」、約三十三秒の「You Don’t Know What I Know」、そして長い「Rational Culture」という順番になる。最後の曲だけで十二分を超すので、曲数が少ない面を小さな付録とは考えられない。前半では大きな歌を短い単位が区切り、後半では最後の一曲へ多くの時間が集まる。その非対称な形を意識すると、第一曲と第三曲だけを聴く場合とは違う到着点が見えてくる。英語の題を持つ短い曲も、その道筋の一部である。
再び聴けるようになって
息子で作品管理者のカルメロ・マイアは、二〇一九年のデジタル再発に際し、父が後年にもこの時期の曲を公演で歌ったと回想した。思想との決別を、全ての歌を生涯捨てたという話へ単純化する必要はない。今は希少盤という評判だけでなく、実際の九曲を続けて確かめられる。最後まで進んでから最初へ戻り、大きな歌と小さな曲のどちらが記憶に残ったか考えてみよう。短い一曲も、前後の歌の始まり方や終わり方を変える働きを持つ。そこまで含めて聴くと、この作品独自の輪郭が現れる。
曲からたどるアルバム
第一曲から第三曲まで短い曲も飛ばさず聴き、最後の三曲の時間配分と比較する。
Imunização Racional (Que Beleza)
現行版で約五分八秒の第一曲。「Que Beleza」という部分だけで覚えていても、完全な題名はアルバムの宗教的な言葉と結び付いている。まず声の句が長く伸びる所と短くまとまる所を追い、そのまま第二曲へ進もう。約二十二秒の曲が続くことで、一曲の終わりが次の小さな単位への入口にもなる。作者欄のSebastião Maiaは歌手本人の名前である。選定は原作第一曲を収めた現行デジタル版で、後年の実演や別リミックスではない。間の短い曲を残して「Bom Senso」まで聴けば、二つの大きな歌がどのように離され、再びつながるか比較できる。
参考資料 · Qobuz / Vitória Regia: current nine-track programme, times and writer creditsBom Senso
第一面の第三曲に置かれた、約五分六秒の歌。すぐ前には二十二秒ほどの小品、後には約十二秒の「Energia Racional」がある。この歌だけを単独で再生する時と、元の順番で入ってくる時では、入口の印象も変わりうる。繰り返される題の言葉が一つの句のどこに現れるかを追い、最後まで進んでも再生を止めずに短い第四曲へ移ってみたい。二つの小さな単位に挟まれた、大きな歌の位置が見えてくる。作者はチン・マイアと表記される。ここでは編集盤から同名曲を選ぶのでなく、原作九曲の順序を保つ現行デジタル版の第三曲を接続している。
参考資料 · Qobuz / Vitória Regia: current nine-track programme, times and writer credits
次に聴く一枚
ジョルジ・ベンの『África Brasil』へ進み、それぞれの構想で作られたブラジルの二作品が曲の長さをどう配置するか比べたい。
África Brasil ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Três Selos Rocinante: authorized Racional Vol. 1 LP, original year and full six-plus-three programme · www.tresselosrocinante.com
- Qobuz / Vitória Regia: current nine-track programme, times and writer credits · www.qobuz.com
- Jornal do Commercio: Carmelo Maia interview on the 2019 digital return · jc.uol.com.br