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Moanin' in the Moonlight

ブルース / シカゴ・エレクトリック・ブルース · 1959

Moanin' in the Moonlight

Howlin' Wolf

この一枚を聴く理由

巨大な声だけでなく、その周りに残された短い隙間が演奏の力を伝える。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

ざらついた一声が部屋の広さを変え、その後をギターやハーモニカが短くなぞる。Howlin’ Wolfの《Moanin’ in the Moonlight》は、ただ大声で押し切るレコードではない。低くうなる音、上へ伸びる音、伴奏の返答が前景を交代するところに耳を向けると、荒い表面の内側に細かな距離の調節が見えてくる。

Chessから1959年に出た最初のLPだが、その年に一度のセッションで録音した十二曲ではない。数年にわたる録音を集めた作品で、Sam Phillipsとメンフィスで制作した初期の曲と、シカゴへ移った後の曲が並ぶ。ここでいうデビューは録音活動の始まりではなく、最初のアルバムという意味だ。一つの固定されたバンド編成を全曲に当てはめないことも大切になる。

声のために空けた場所

Wolfの歌を恐ろしい声という一言で片づけると、伴奏の働きが見えにくい。声が伸びる間、楽器は短く応えたり、同じ形を保って足場になったりする。歌が途切れた瞬間には、小さかった音が急に近く感じられる。一度は声だけを、次には言葉の切れ目に残る音だけを追ってみよう。実際の音量が変わらなくても、注意を向ける先によって場面の中心は変わる。力は絶え間ない叫びより、こうした交代から生まれる。

短い演奏を続けて聴く

冒頭の「Moanin’ at Midnight」と「How Many More Years」は初期録音の密度を示す。「Smokestack Lightnin’」へ進むと、繰り返す短い音型が声を聴く物差しになる。曲順を年表や一つの物語に置き換える必要はない。短い演奏が切り替わるたびに、速さの感覚と楽器の返答がどう変わるかを比べるとよい。「Evil (Is Going On)」を通って最後の「Somebody in My Home」まで、親しんだ声の輪郭を基準に、伴奏が別の空間を作るところを探したい。有名な曲だけを抜き出すより、その違いが分かりやすくなる。

再発資料と現在の入口

UMeの2018年の再発案内は、メンフィス録音三曲と、その後のシカゴ録音九曲という構成を説明している。これは後年の資料であり、発売当時の批評ではない。リンク先のGeffenのデジタル版は十二曲構成だが、別に案内された再発LPと同じマスターだとは断定しない。月明かりという題名から穏やかな夜の歌だけを想像したり、後のロックの源流という説明だけで通り過ぎたりするのは惜しい。息、声のざらついた縁、楽器が待つ一瞬を聴けば、歴史上の位置づけとは別に、この演奏へ戻る理由が見つかる。

曲からたどるアルバム

歌の文句が終わるところで、楽器が隙間をどう埋めるかを聴く。

  1. Moanin' at Midnight

    言葉の意味より先に、低く響く声とその上へ伸びる音を追ってみよう。音域と質感が、文章を理解する前から場面を作る。Sam Phillipsとメンフィスで制作した初期録音の一つだが、古い録音だからといって荒い表面をすべて技術的な限界と考える必要はない。短い伴奏の反復と長く伸びる声が、違う時間の物差しを持つことに緊張がある。まず楽器の周期を数え、次には声がどこでその区切りを越えるかを聴こう。歌詞だけを追うと逃しやすい息の長さが見えてくる。似ていても異なる曲名とアルバム名を区別すると検索もしやすい。一つの声が部屋を占めていく過程が、この盤の入口になる。

    参考資料 · uDiscover / UMe: 2018 reissue and recording history
  2. Smokestack Lightnin'

    繰り返す短い音型が、声の動きを比べるための基準になる。伴奏が毎回まったく新しい場面を作らないからこそ、声の小さな曲がり方が大きく感じられる。まず反復する線を心の中で追い、次にはその上へ伸びる音の終わりに集中してみよう。音が止まった後に残る緊張も聴きどころだ。リンク先の十二曲版では三曲目に置かれ、冒頭の初期録音二曲から注意の向け方を変える。後年の別の演奏と同じ長さや構成を期待せず、この収録版の中で反復と声の関係を確かめたい。楽器の数の多さではなく、少ない材料を保ちながら押し方を変えることで、強い印象が生まれる。

    参考資料 · Apple Music: twelve-track Geffen edition

次に聴く一枚

Otis RushのThe Cobra Recordingsと比べると、同じシカゴ・ブルースでも声の入り方や文句の終え方が違って聞こえる。

The Cobra Recordings ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。