クラシック / 中世とルネサンス · 1989
Machaut: Messe de Nostre Dame(マショー:ノートルダム・ミサ)
ヒリヤード・アンサンブル
마쇼: 노트르담 미사 · 힐리어드 앙상블
この一枚を聴く理由
一つの声を追い、次は別の声へ耳を移す。初めは見慣れない響きの塊でも、近づいたり離れたりする複数の道として聴こえてくる。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
「Kyrie」で高い声を追ったら、その下でゆっくり動く音にも耳を向けてみたい。一緒に歌っていても、全員が同じ線を進むわけではない。近づくところと離れるところに注意を置くと、古い教会音楽も静止した風景にはならない。旋律をすぐ覚えようとせず、まず追ってみたい声を一つ選ぶ。それだけでこの録音への入り口になる。中世音楽の用語を先に覚える必要はなく、自分の注意が移ることをそのまま聴き方にできる。
14世紀の作曲家ギヨーム・ド・マショーの音楽を、ヒリヤード・アンサンブルが歌う。表示の1989年はHyperion盤の発売年で、作品が書かれた時代ではない。参照する配信は十九トラックだが、ミサは冒頭の六トラックで、その後には別の作品が続く。すべてを一つのミサの十九楽章だと考えないようにしたい。最初は六つの流れを聴き、それから残りへ広げてもよい。配信の一覧と作品のまとまりを分けると、長いアルバムにも入りやすくなる。
一度に全部をつかまなくてよい
最初は低い声を、次はその上の動きを選んで追ってみよう。一つの声がとどまる間、ほかはどのくらい動くのか。みんなが着地したように感じるとき、直前と何が違うのか。複数の旋律が同時に鳴る多声音楽も、その関係を聴くところから始められる。すべての声を同じ注意で受け止めようとするより、一回ごとに焦点を変えるほうが発見につながることもある。楽譜がなくても、もう一度選びたくなる場所は見つけられる。
穏やかさだけを求めない
教会の音楽だから、いつも柔らかく落ち着くはずだとは思わなくてよい。声が重なったときに緊張を感じ、次の響きで急に居場所が決まるように聞こえることもある。それを聴き間違いだと片付けず、変わる瞬間を待ってみたい。知っているサビを待つ代わりに、声と声の出会いを待つのである。楽な音量で一楽章を二度聴くだけでも、漠然とした印象の中に、自分が覚えている短い場面ができるかもしれない。
名演という言葉より小さな比較
ECMは2004年に別のマショー盤を紹介する際、この以前のミサ録音を振り返っている。長く取り組んできた音楽という背景にはなるが、その回顧を発売時の全聴衆の反応とは扱わないでおこう。初めてなら評価を確認するより、「Kyrie」と「Gloria」を続けて聴いてみたい。どちらで言葉が先へ進む感じが強いか、どちらで一つの音にとどまるか。違いが一つ見つかれば、残りの楽章にも自分の問いを持って入れる。初めから全曲に同じ親しみを感じなくても、気になる声から少しずつ進めばよい。
曲からたどるアルバム
最初の六トラックがミサ。KyrieとGloriaの言葉と旋律の進み方を比べ、その後で十九トラック盤の残りへ進もう。
Kyrie
高い声から低い声へ注意を移してみる。最初に目立った線が奥へ退いても、音楽は動き続けるだろうか。Hyperionの解説は、ミサの中でも短い典礼文と長い典礼文では扱いが違うと説明する。分類を覚える前に、この楽章で一つの音節がどれほど続くかを聴けば、次との比較ができる。祈りの言葉をすべて訳さなくても、声の関係には耳を向けられる。いくつかの声が出会ったような瞬間を探し、その直前にどんな別の道を通ってきたか思い返したい。二度目は別の声を選んでよい。構造を完全に解読する代わりに、自分が待つようになる一瞬を見つける聴き方ができる。
参考資料 · Hyperion: Machaut, Messe de Notre Dame, CDA66358; release and booklet essayGloria
「Kyrie」から続けると、言葉が前へ進む速さの違いを感じやすい。同じ歌い手でも、長い文を届けるときと短い言葉を伸ばすときでは、耳がとどまる場所が変わる。参照する版ではミサの二曲目であり、別の時代の合唱曲へ移ったのではない。一語ずつ訳すより、句の終わりを待ってみよう。声がまとまって語る感じが強いか、それぞれの動きを追いたくなるか。前の楽章で遠く感じた響きが近づくことも、その逆もある。どちらが優れているか決める必要はない。同じ作品の中でも注意の向け方を変えられると気づけば、残りの楽章を一つの雰囲気にまとめずに聴ける。
参考資料 · Apple Music Classical: Hilliard Ensemble, Messe de Nostre Dame recording
次に聴く一枚
セクエンツィアのHildegard von Bingen: O Jerusalemへ。複数の線を聴く耳が、長い一つの旋律を追うとき、何が変わるだろう。
Hildegard von Bingen: O Jerusalem ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Hyperion: Machaut, Messe de Notre Dame, CDA66358; release and booklet essay · www.hyperion-records.co.uk
- Apple Music Classical: Hilliard Ensemble, Messe de Nostre Dame recording · classical.music.apple.com
- ECM: 2004 Machaut Motets release background, retrospect on the ensemble’s earlier Mass · ecmrecords.com