エレクトロニック / 先駆者とクラウトロック · 1975
Timewind
クラウス・シュルツェ
Timewind · Klaus Schulze
この一枚を聴く理由
サビを待つ代わりに、繰り返す音を道しるべにする二つの長い曲。周囲の響きが変わると、同じ動きも違って感じられます。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
「Bayreuth Return」では、まず繰り返す音を一つ選んで追ってみてください。すべての楽器を聞き分けなくても大丈夫です。その周囲に別の響きが重なると、同じ動きが近く感じられたり遠く感じられたりするでしょうか。歌の次の言葉やサビを待つ聴き方とは少し違います。音同士の距離が変わること自体を、曲の出来事として受け取ってみると入りやすくなります。
1975年の《Timewind》は「Bayreuth Return」と「Wahnfried 1883」の二曲で構成されています。ここで案内するVirginのデジタル版もその曲順です。後年の版には追加音源を収めたものがありますが、曲数が多い版だけが完全な原盤という意味ではありません。ユニバーサルの2017年再発資料も、LP両面の二曲とデジタルの追加三曲を分けています。まず二曲で一区切りをつけ、そのあとで別の資料へ進むと違いが分かりやすくなります。
前に聞こえる音を変えてみる
繰り返す音をずっと数える必要はありません。長く伸びる響きにいったん耳を移し、また元の動きへ戻ってみましょう。音の数が増えなくても、速さや重さの感じ方は変わるでしょうか。専門用語を覚える前に試せる聴き方です。踊れる明確なビートを期待していたなら、足で拍を取るより、音の距離を追うつもりで接するとよいかもしれません。落ち着く人も落ち着かない人もいて、その違いを無理に埋める必要はありません。
二曲目のために休憩を挟んでもよい
「Wahnfried 1883」は最初の曲に付いたおまけではなく、元のアルバムのもう半分です。続けて聴くときと、少し休んでから聴くときで印象が変わることもあります。途中で集中がほどけても失敗ではありません。記憶に残った音の手触りを頼りに、改めて戻れば十分です。長い音楽では、全瞬間を覚えるより、耳が再び動き出す場所を見つけるほうが面白い場合もあります。短い試聴だけでは、この時間の感覚までは判断しにくいでしょう。
再発という事実から先を決めつけない
後年にユニバーサルが作品を再び紹介し、追加音源も用意したことは、新しい聴き手が出会う機会が続いた具体的な証拠です。ただし、それを1975年当時の全員の熱狂へ置き換えることはできません。確認できない売上や一様な評価を添えるより、今の自分が二曲をどう違って受け取るかを大切にしたいところです。一方は短く感じ、もう一方は長く感じてもかまいません。どこで気が散り、どこで戻ったかを思い出せば、自分に合う入り口が少し見えてきます。
曲からたどるアルバム
繰り返す音から長く伸びる音へ、耳の焦点を移してみてください。二曲を別々の日に聴いてもかまいません。
Bayreuth Return
繰り返す音を目印にしながら、その周囲の響きへ注意を移してみましょう。音が加わるときだけでなく、何かが後ろへ引くときにも変化があります。元の二曲構成では最初の長い曲で、ユニバーサルの再発資料でもLPの片面として扱われています。短い歌のサビのような即座の戻りを待つと、停滞して感じられるかもしれません。代わりに、最初は背景だった音がいつ中心になったかを比べてみてください。試聴は音の手触りを確かめる入口にして、続きが気になったら全体へ進めば十分です。使われた機材の名前を答えられなくても、耳の向きが変わる瞬間は楽しめます。
参考資料 · Apple/Virgin: original two-track Timewind programmeWahnfried 1883
一曲目の直後なら、似た動きを探す前に長く残る響きを優先してみてください。個々の音の境目より、重なっている状態そのものが近く感じられるでしょうか。元のアルバムはこの二曲目で終わり、短い締めくくりの歌は付きません。後年の追加音源を続けると、そのあとの余韻は別のものになります。ユニバーサルの再発資料も追加部分を分けているので、まず元の二曲だけで止めてみるのもよい方法です。部屋が静かになったとき、どの音が残っているかを思い出してください。同じ雰囲気という言葉だけでは分からない二曲の差が、自分の記憶から見えてくるかもしれません。
参考資料 · Apple/Virgin: original two-track Timewind programme
次に聴く一枚
次はタンジェリン・ドリームの《Phaedra》へ。長い電子音楽のなかで、繰り返しと広がりの釣り合いがどう変わるか比べてみてください。
Phaedra ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。