日本の音楽 / 昭和歌謡・アイドルポップ · 1999
セカンド モーニング
モーニング娘。
この一枚を聴く理由
同じ作家の曲を複数の編曲家と声が形にし、シングル集には収まらない起伏を生む。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
朝を名乗るアルバムが「NIGHT OF TOKYO CITY」で夜の街から始まる。夏、記憶、ふるさとへと進む十二曲を追うと、初期モーニング娘。を一つの明るい表情だけで捉えるのは難しくなる。既発曲にもミックスやアルバム・ヴァージョンの違いがあり、知っている旋律を別の場所へ置き直して聴かせる二作目だ。
発売は一九九九年七月二十八日。同年秋の「LOVEマシーン」より前なので、後のヒット曲の音像や参加者をそのまま遡って当てはめないようにしたい。福田明日香の卒業後に発表された一方で、「Never Forget」には彼女の歌声が残る。発売時点のグループ写真と、録音の中にいる声の時間は必ずしも一致しない。メンバーが変化する集団の作品を、一枚の記録として聴くための大切な入口である。
一人の作者と複数の編曲
作詞・作曲は全曲つんくだが、編曲は複数の人が担う。前嶋康明による冒頭曲と「Memory 青春の光」のあいだには、河野伸が手がけた「真夏の光線」が置かれている。同じ作者の旋律が異なる伴奏設計に入ると、歌の重さはどう変わるだろうか。すべての音を一人のプロデューサーへ帰属させるより、曲別のクレジットと前に出る声の関係を比べてみよう。グループ名が同じでも、声への注目の配分が毎回同じである必要はない。 その違いが曲の並びにも表れる。
シングルの記憶を並べ直す
二曲目のVacation Mix、六曲目のN.Y.Mix、九曲目のAlbum Versionは、後から付いたボーナスの印ではない。この副題を残しておくと、シングルを順番に詰めただけの選集とは違う構成が見えてくる。「ふるさと」から「抱いてHOLD ON ME!」への移行では、歌が呼びかける相手との距離を比べてみたい。旧ヴァージョンを知らなくても、声が言葉を置く間隔や伴奏との関わりから、その切り替わりを感じることはできる。
別れが最後の言葉ではない
「Never Forget」はLarge Vocal Mixで十一曲目に入る。そのあとには約六分の「ダディドゥデドダディ!」が続き、別れの曲だけに終結を任せない。最も短い「乙女の心理学」からこの二曲へ進む後半は、長さの面でもすぐには閉じない作りだ。一人の声に意識が集まる瞬間と、複数の声が関係を作る瞬間を分けて聴いてみよう。全員の経歴を暗記する前でも、どこで区切り、どこでまだ続けるかという曲順の選択から入れる。最後まで進むことが、個人の歌を集団の時間の中で捉え直すきっかけになる。
曲からたどるアルバム
「ふるさと」からN.Y.Mixへの転換と、「Never Forget」のあとに続く終曲を比べてみよう。
抱いてHOLD ON ME!(N.Y.Mix)
六曲目にはN.Y.Mixという区別が付く。シングルと同じ題名だからと副題を省かず、直前の「ふるさと」とのつながりから聴いてみたい。サビを知っている人は、その到着を準備したり区切ったりする伴奏へ注意を移そう。初めてなら、複数の声が一つの言葉を強めるところと、短く分かれるフレーズを比べるだけでも入口になる。N.Y.という表記だけで、すべての楽器をニューヨークで新録したとは断定できない。前嶋康明の編曲クレジットとヴァージョン名を分けて確認し、既知の曲をアルバムの別の場所で聴き直す選択として受け止めたい。
参考資料 · Up-Front Works — original EPCE-5025 programme and songwriting/arrangement creditsNever Forget(Large Vocal Mix)
福田明日香の声が残る十一曲目。卒業後の発売だからと、すべてを発売時の在籍者だけの記録と考えないための手がかりになる。Large Vocal Mixという名称を保ちつつ、旧版との細かな違いを一度に断定する必要はない。一節が終わったあとに伴奏がどれだけ余韻を引き受けるかを追い、そのまま最後の曲へ進んでみよう。ここで止めると別れが最終的な結論になるが、実際の曲順はもう一曲を置いている。歌の配置を比較することと、全メンバーの心情や制作意図を推測することは別だ。個人の声が集団の続いていく時間にどう収まるかを考える入口にしたい。
参考資料 · CDJournal — contemporary review and Fukuda vocal on Never Forget
次に聴く一枚
KOIZUMIX PRODUCTIONの『Bambinater』へ進み、一人の歌手を囲む制作の協業と、グループ内で声を配置する方法を比べたい。
Bambinater ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Up-Front Works — original EPCE-5025 programme and songwriting/arrangement credits · up-front-works.jp
- Hello! Project — official release chronology including singles and LOVE Machine · helloproject.com
- Hello! Project — 2019 two-LP edition, distinct from original CD · helloproject.com
- CDJournal — contemporary review and Fukuda vocal on Never Forget · artist.cdjournal.com
- Apple Music Japan — original twelve-track programme · music.apple.com