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SHAKE IT PARADISE

日本の音楽 / ヴォーカルポップ・R&B · 1986

SHAKE IT PARADISE

久保田利伸

この一枚を聴く理由

短く弾む言葉と長く開く声。同じ歌手がリズム曲とバラードで時間の使い方を変える面白さがあります。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

「流星のサドル」でまず耳を引くのは、声が伴奏をなぞるだけでなく、自分でもリズムを作っていく感覚です。言葉を短く集める部分と、音を長く開く部分が交代し、曲の進み方に表情を加えます。四曲目の「Missing」では、同じ歌手が長い呼吸で空間を広げます。力のある声を披露するデビュー盤としてだけでなく、速い曲と遅い曲で歌の時間がどう変わるかを聴くと、一枚の中の幅が見えてきます。

ソニーの公式資料によると、最初のアルバムの発売日は1986年9月10日です。前年に作曲家として活動を始め、1986年に「失意のダウンタウン」で歌手としてデビューした時期の作品です。案内するApple日本版は、短い「For You ~伝えきれなくて」までの全十一曲を収録し、音源の権利年は1986年と表示されています。2016年の記念アナログ・ボックスにも収められましたが、その盤と現在の配信のマスターが同じとは確認できません。再発の情報と最初の発表年は分けて考えます。

言葉の長さが生む動き

表題曲や「To The Party」では、まず身体が動く感覚に任せてよいでしょう。その次に、声が伴奏へ寄りかかる場所と、前へ飛び出すように聞こえる場所を比べてください。ソウルやファンクという呼び名は、こうした関係を聴くための手掛かりになります。大きな声だから勢いがあるとは限りません。音節をまとめる速さ、母音を開く長さ、フレーズのあとの隙間にも、曲を進める力があります。

後年の言葉から聴き直す

2025年のJ-WAVEで久保田は、デビュー・シングルの録音時の力みと、「流星のサドル」で感じていた自由さを振り返っています。これは当時の批評ではなく、作り手による後年の見方です。二曲が同じアルバムにあることを踏まえると、完成した歌い方だけを探すより、力を加える瞬間と流れに乗る瞬間の違いに注意を向けられます。「Missing」の直後にデビュー曲が来る順番も、声の表情をもう一度切り替えます。

代表曲からアルバムへ

2006年にフジテレビが掲載した対談では、きくちが発売日に購入し、冒頭曲に驚いた記憶を語っています。一人の体験を当時の世評全体に置き換えることはできません。後半の「もうひとりの君を残して」や「Dedicate (To M.E.)」を経て短い終曲まで進むと、作品は有名曲を二つ並べたものではないと分かります。長さや密度を変えながら、最後には小さな単位へ収まっていく。その曲順も、現在このアルバムを通して聴く理由になります。

曲からたどるアルバム

「流星のサドル」と「Missing」を比べてから曲順で聴いてみてください。言葉の意味だけでなく、短くなる音節と長くなる母音にも注目を。

  1. 流星のサドル

    足で一定の拍を取り、その上のどこへ声が入るかを追ってみましょう。言葉を短くまとめて出す部分と、音を開く部分が入れ替わり、伴奏の流れを保ったまま感触を変えます。2006年の取材で久保田は、この曲を鼻歌から作ったと説明しました。その話を才能の証明で終わらせず、口から生まれた旋律がどれほど直接リズムを含むかを聴く手掛かりにできます。サビで勢いが増すときも、高い音だけを待たず、言葉の始まりが素早くまとまるところに注目してください。冒頭に置かれることで、以後の曲を聴く身体の基準を作る役割もあります。後半のバラードへ進んだあと戻ると、声の切り方がいっそうはっきりします。

    参考資料 · Fuji Television: Kikchy Factory2006 interview with Toshinobu Kubota
  2. Missing

    速い曲で聴いた短い発話から離れ、一つのフレーズが終わるまで声がどう続くかを追ってください。大きく歌う箇所だけでなく、力を抜きながら次へ渡る部分も感情の距離を作ります。伴奏が広く場所を空けるとき、同じ強さで押し続けないことが効いてきます。アルバムでは四曲目なので、その前のリズムを重視した曲から続けると変化が鮮明です。短い試聴は声の色を紹介し、全曲は長い呼吸が積み重なる時間を示します。後年のライブや別の歌手の版で先に知った人も、1986年の一枚の中へ戻してみてください。大きな感情が小さな発音や息の調整から生まれる様子を探せます。

    参考資料 · Apple Music Japan: Shake It Paradise eleven-track edition

次に聴く一枚

シュガー・ベイブの『SONGS』と比較すると、日本語の歌とリズムの関係を、バンドのまとまりとソロ歌手の身振りという別の中心から聴けます。

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参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。