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ごあいさつ

日本の音楽 / フォーク・シンガーソングライター · 1971

ごあいさつ

高田渡

この一枚を聴く理由

話すような歌の周囲で、詩と日常と伴奏が少しずつ違う表情を見せる。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

大きな身振りで感情を説明する代わりに、高田渡は近くの人へ話すように歌う。短い曲が続き、挨拶、金銭、コーヒー、自転車と場面が移っていく。声だけでなく、言葉の後に残る間や、そこへ入る楽器の返事を聴いてみよう。淡々とした歌い方の周りには、意外に細かい変化がある。

1971年にキングのNEWSから発売された『ごあいさつ』は、彼にとって初のメジャーレーベル作品であり、録音活動そのものの出発点ではない。後のベルウッド盤と区別しておきたい。はっぴいえんどや中川イサトらの参加により、一人の弾き語りという像より広い音の場所が生まれた。伴奏が加わっても、声が急に大げさな演技へ変わるわけではない。歌の輪郭を保ちながら、背景の色を変えるところが面白い。

自分の言葉だけを歌うのではない

冒頭の言葉は谷川俊太郎によるもので、最後の「生活の柄」では山之口貘の詩に曲を付けている。本人の作詞作品と詩人の文章が、一つの声でつながる構成だ。そのため、すべての歌を本人の実体験の告白と決めてしまうと、作品の広がりを狭めてしまう。「失業手当」や「値上げ」のように生活の負担を示す題名と、飲み物や移動をめぐる題名が並ぶ。身近なものを歌うことは、軽い問題しか扱わないことではない。短い曲が次の場面へ移るたび、その二つが同じ日常にあることが伝わる。笑える歌と厳しい言葉を別の箱に分けず、曲順のまま受け止めてみたい。

後から見えてきた音の作り方

2022年のKINGの回顧では、伴奏やスタジオの音作りにも力を注いだ点が取り上げられている。2021年の三浦光紀へのインタビューでも、時間とともに大きくなった歌い手の存在が語られた。これらは後年の証言や評価であり、1971年当時の売上や批評の総意に置き換えることはできない。今聴くなら、語尾を強く押す場所より、押さずに置いておく場所を探してみたい。言葉の長さ、休止、楽器の小さな応答を追うと、会話に近い歌の中にも細かな時間の設計が感じられる。

まず十六曲の終わりを聴く

原盤は「生活の柄」で閉じる十六曲。現在の配信で十七曲目に置かれる「自転車にのって(ファンキーヴァージョン)」は、1972年の別作品に入った録音を加えたものだ。一度は本編の終わりで止め、少し間を置いてから追加曲へ進んでみよう。それから二つの「自転車にのって」を比較すると、編成が変わったときの歌の動きも分かりやすい。有名な参加者の音を当てることより、同じ歌い手の周囲にどれほど違う余白ができるかを聴くほうが、この盤への自然な入口になる。

曲からたどるアルバム

「生活の柄」で一度区切り、追加された別ヴァージョンは比較のために聴く。

  1. コーヒーブルース

    KINGの回顧は、この曲を本人の生活から生まれた歌として紹介している。日常的な飲み物が題材でも、ただのくつろいだ背景音にしてしまうのは惜しい。話すような声が一行を終えたあと、次の言葉までにどんな間があるかを聴いてみよう。伴奏が時間を保つため、少し置かれた言葉も流れから外れない。二度目は声より弦の動きを追い、次の一行へどれほど場所を空けるかを確かめたい。大きな盛り上がりを作らなくても、小さな強調は現れては消える。周囲の曲と続ければ、コーヒーの時間も生活の心配から隔絶された楽園ではなく、同じ一日の中で速度を変えるひとときとして響く。

    参考資料 · KING RECORDS TODAY, 2022: original NEWS issue, Bellwood reissue, performances and bonus-track origin
  2. 生活の柄

    山之口貘の詩に高田が曲を付けた、原盤の締めくくり。歌う人の存在感が強くても、詩の作者と語り手と歌手は区別して聴きたい。力を入れすぎない声は、休止と旋律の戻る位置へ耳を向ける余地を残す。短い曲をいくつも通過したあとでここに留まると、それまでの生活の場面にも違う重みが感じられる。まずはこの曲の後に少し静けさを置いてみよう。現在の配信で続く別ヴァージョンをすぐ聴かないことで、アルバムが言葉を終える位置が分かる。追加曲は後から比較すればよい。1971年の本編に最初から十七曲目があったように受け取らないことが、この終曲の働きを守る。

    参考資料 · FMPJ 記憶の記録LIBRARY: songwriters and arrangements

次に聴く一枚

岡林信康の『わたしを断罪せよ』と並べ、近い時代のフォークにある発声の違いを聴きたい。

Watashi Wo Danzai Seyo ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。