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シオリギル

韓国の音楽 / 1980年代 · 1986

シオリギル

キム・ドゥス

시오리 길 · 김두수

この一枚を聴く理由

揺れる声を詩とバンドの編曲が囲み、喪失の風景を一曲ずつ違う大きさにする。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

キム・ドゥスの第一作を、孤独な歌手がギター一本で語る作品と決めてしまうと、声の周囲にいる奏者を見落としてしまう。参加者にはエレクトリック・ギター、ベース、鍵盤、ドラム、コーラスも記されている。伴奏の不在ではなく、複数の楽器があっても消えない一人の声の輪郭から入ってみたいアルバムである。

原作は一九八六年発表。十曲の本編と、当時の制度に関わる健全歌謡を収録した。再発元の解説によれば、審議を経て冒頭曲の題名と歌詞の一部が変更されたという。ただし、その歴史をすべての曲に当てはめる唯一の答えにする必要はない。鳥、葉書、道、花という表題は、それぞれ異なる移動や距離を想像させる。社会の出来事と個人的な思いがどこで接するかは、曲ごとに考える余地がある。

編曲の中で揺れる声

編曲はイ・ヨンジェ。ギターの参加者にはキム本人とイ・ビョンウの名前もある。だからといって、聞こえる音の一つ一つを誰の演奏か断定できるわけではない。まずは歌の一節が終わったあとに残る楽器を追ってみよう。和音の支えと声の細かな揺れを別々に捉えると、声色だけを不安定と評価する前に、伴奏との関係が見えてくる。全編を最小編成の弾き語りと説明するよりも、その配置の違いに目を向けたい。

三分に満たない詩の時間

二曲目の「귀촉도」はソ・ジョンジュの詩に基づく歌で、長さは三分に満たない。詩の意味を長大な器楽部分で説明するのではなく、書かれた文章が一息の歌へ変わるところが入口になる。続く葉書の歌と題名曲も、同じ悲しみの反復として片づけないでおこう。言葉を届けようとする相手が近く感じられるか、遠くへ退いていくか。専門的な文学解釈を先に身につけなくても、呼吸の区切りから比較を始められる。

長い旅と、そのあとの花

現行の五曲目「여로」は約五分二十秒で、前半の小さな形式を広げる。そのあとに置かれた「꽃묘」には、再発資料で「시오리길 2」という副題が付く。二曲が同じ録音の前後半だという意味ではなく、道と追悼を結ぶ手がかりとして受け止めたい。本編の最後と健全歌謡のあいだにも、制作制度が残した境目がある。最後に鳴る曲をすべて作者の自伝的な結論と見なさず、十曲の本編を一度区切って聴くと構成を捉えやすい。 また、再発盤の曲順は原盤の面割りをそのまま写したものではない。長い曲が終わったところで少し間を置き、次の曲の最初の言葉に戻る聴き方もできる。暗さや孤独という評価語だけでは隠れてしまう、一曲ごとの寸法を確かめるための区切りである。

曲からたどるアルバム

冒頭の短い曲群から「여로」の長い呼吸へ進み、題名曲と「꽃묘」のつながりを比べよう。

  1. 시오리길

    四曲目の題名曲は約三分半。すぐあとに長い「여로」が続くため、ここでは短い形式の中に距離を感じさせる方法を探してみたい。大旅行を描く壮大な歌と決めつけず、言葉を一歩ずつ置いていく声として聴いてみよう。歌い終わりを伴奏が閉じるのか、それとも少し先へ持ち越すのかが手がかりになる。後半の「꽃묘」には「시오리길 2」という副題があるが、同じ演奏の長尺版ではない。道と追悼という連想を二曲の比較に使いながら、すべての音を作者の実体験へ直接結びつけないことも大切だ。最初は声の揺れと一節の長さだけに注意を向けてもよい。

    参考資料 · Bugs / Yejeon Media — 2011 reissue programme and label introduction
  2. 귀촉도

    ソ・ジョンジュの詩を歌にした二曲目で、約二分五十六秒に収まる。難しい語をすべて解釈してから聴く必要はなく、文章のどこで息を取り、最後の音をどう残すかから入れる曲だ。冒頭の鳥のイメージからこの詩を経て、葉書という日常の物へ移る並びも意識してみよう。三曲を一つの悲しい気分へまとめるより、呼びかけの距離の違いが見えてくる。再発解説が伝える詩人の同意は制作の背景であり、詩の唯一の読み方を保証するものではない。原詩を別に読む場合は、印刷された行と歌の呼吸の区切りがどう重なるかを比べると、短い形式の働きをつかみやすい。

    参考資料 · Bugs / Yejeon Media — 2011 reissue programme and label introduction

次に聴く一枚

タロ・ト・ガチの三作目へ進み、キムの短い歌と、複数の作者が展開する長いフォーク曲の呼吸を比較したい。

따로 또 같이 3집 ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。