GROOVE ARCHIVE
← 映画音楽
The Man with the Golden Arm

映画音楽 / 映画音楽とジャズ · 1955

The Man with the Golden Arm

Elmer Bernstein

The Man with the Golden Arm · 엘머 번스타인

この一枚を聴く理由

ジャズの活気が、人物を追い立てる力にもなる。金管とドラムを劇の働きとして聴く一枚。

音楽と一緒に読む

収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

金管の鋭い輪郭とドラムの動きが、音楽に強い身体感覚を与える。ただし、勢いがあるから明るい場面だとは限らない。エルマー・バーンスタインは、その力を人物にかかる圧力としても使う。強い主題の後に静かな部分へ進むと、同じ人の別の表情を見るような変化が生まれる。

オットー・プレミンジャー監督の1955年作品で、フランク・シナトラはドラマーを目指すフランキーを演じる。映画の年とレコードの年は分けておきたい。オリジナル・サウンドトラック盤は1956年に出ており、接続するGeffen配信版はその11トラック構成を収める。2013年の著作権表示は、新たに演奏を録音した年を意味しない。シナトラの歌を集めたアルバムでもなく、人物と場面のために作られた音楽を聴く盤である。 トラック名に複数の区間が示されるところでは、その内部の変化にも注意を向けると、音盤としての構成が見えやすくなる。

ジャズの演奏家と劇の構造

フランス国立図書館の目録は、ショーティ・ロジャースによるジャズの編曲と演奏、シェリー・マンのドラム参加を記している。しかし、全体を自由な即興セッションと考えると、場面に合わせて組み立てられた構造を見失う。リズムは行動を進めるだけでなく、観客が人物の不安を感じる手掛かりにもなる。映画を見ていなければ、最も大きな音が退いた後に何が残るかを追ってみよう。緊張は音量だけで保たれるのではない。

一つのトラックに複数の音楽

冒頭のClark StreetにはThe Top、Homecoming、Antek’sがまとめられている。つまり11トラックをそのまま映画の11場面と対応させる必要はない。ZoshやMollyのような人物名の曲と、Auditionのような行動を示す曲では、音楽が注意を向ける対象も変わる。レコードではその違いが、速度や密度、旋律を伸ばす余裕の違いとなって聞こえる。場面を一つずつ再現しようとしなくても、強い部分と柔らかな部分の順序を追えば全体の方向がつかめる。

最初という肩書よりも

この音楽は1956年のアカデミー賞で候補となったが、受賞作ではない。また、映画で初めてジャズを使った音楽とも言い切れない。バーンスタインは2001年のインタビューで先行例を認め、この作品ではジャズの要素が特に支配的だったと振り返った。同じ対話では、映画音楽はまず映画に仕えるものだとも語っている。だから有名な主題だけを切り出すより、その周囲の静かな曲も続けて聴きたい。力強い演奏が人物の安心を保証しない点に、この盤の劇的な面白さがある。

曲からたどるアルバム

冒頭の複数の区間を追い、9曲目Auditionと比較する。活気と緊張の関係に耳を向ける。

  1. Clark Street: The Top / Homecoming / Antek's

    複数の題名が並ぶこと自体が、この曲の聴き方を教えてくれる。一つの調子が続く曲ではなく、場面ごとの音楽をまとめたトラックだ。強い冒頭から次の部分へ移る際、速さや音の密度がどう変わるかを追いたい。最初は大きな境目だけをつかみ、二度目にはそれをつなぐリズムや旋律の痕跡を探す。画面がなくても、転換そのものが物語の動きを作る。後年の楽団による単独の主題曲カバーではなく、原サウンドトラックの入口として聴くことが大切だ。有名な身振りが次の音楽と結びつくことで、街の動きと人物の置かれた状況が同じ流れの中に現れてくる。

    参考資料 · Elmer Bernstein official discography:1956eleven-track soundtrack
  2. Audition

    ドラマーを目指す人物にとって、オーディションは技巧を見せるだけの場ではない。まず打楽器の動きを追い、次には周囲の合奏がどう反応するかへ耳を広げてみよう。録音にはシェリー・マンが参加しており、画面に映るシナトラがすべての楽器を演奏した盤ではない。勢いのある箇所をすぐ勝利の表現と考えず、音が集中するところと少し空くところを比べたい。演奏の活気が人物への圧力として働く場合もある。前半の人物名を持つ曲へ戻ると、同じ楽器でも劇の中で担う仕事が違うことが分かる。物語の結末を知らなくても、その演奏が人物にとって重要だという感覚は伝わる。

    参考資料 · BnF catalogue: Shorty Rogers and Shelly Manne soundtrack credits

次に聴く一枚

Leonard BernsteinのOn the Waterfrontと続け、都市と人物の圧力を表す同時代の別の方法を比べたい。

On the Waterfront ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。