映画音楽 / ハリウッド黄金期 · 1938
ロビンフッドの冒険(後年の復元演奏を参照)
エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト
The Adventures of Robin Hood · 에리히 볼프강 코른골트
この一枚を聴く理由
冒険を急がせる音楽が、感情を待つ音楽へ変わる。その時間の使い方が魅力です。
音楽と一緒に読む
1938年の映画音楽。現在の参考音源はストロンバーグ/モスクワ交響楽団による後年の復元再録音、2015年Naxos盤です。映画の原録音ではありません。
収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
「Main Title - Muted Fanfare」を聴いたら、いったん「Love Scene」へ移ってみてください。短い開始の合図と、長く一つの気分にとどまる場面。二つを並べると、冒険映画の音楽が勇ましさだけで成り立っているわけではないと分かります。人物の名前や物語の結末を予習するより、次の音を待つ自分の気持ちがどう変わるかを確かめるほうが、自然な入口になるでしょう。
選定年の1938年は映画と楽曲の年です。ここで参照する音源は映画のオリジナル録音ではありません。ジョン・モーガンによる楽譜の復元に基づき、ウィリアム・ストロンバーグ指揮、モスクワ交響楽団が2003年に録音した演奏の、2015年Naxos盤です。古い録音の雑音を除去したものではなく、復元された音楽を後年の奏者が演奏した録音として区別してください。作曲者と今回の指揮者も同一ではありません。
画面がなくなった後のつながり
映画の中では、短い音楽の変化が身振りや視線を受け止めます。音盤として聴くと、その変化の連続自体が耳を導く構成になります。複数の場面名を連ねた第5曲と、一つの題名で長く続く「Love Scene」を比べてみましょう。細かく向きを変えることと、一つの感情を保つこと。どちらにも集中を持続させる工夫が必要です。大きな響きだけを追わず、場面が切り替わるように感じる場所にも注意を向けてください。
受賞と再録音の評価を分ける
コルンゴルトは1938年公開作品を対象とする1939年のアカデミー賞で作曲賞を受賞しました。これは当時の作品への評価です。一方、ロブ・バーネットが2003年のMusicWeb評で高く評価したのは、復元された楽譜と現代の演奏でした。両者には長い時間の隔たりがあります。現在の盤で細部を追いやすいことを、そのまま1938年の劇場での聞こえ方の説明に置き換えないようにしましょう。
予告編は別の目的で聴く
参照盤は26曲構成で、「End Cast」の後に予告編の音楽を収録しています。最後の一曲を本編の新しい結末と考えず、観客を映画へ誘うための別の音楽として聴くと、曲順が理解しやすくなります。本編に沿う流れをいったん終えてから、予告編だけを再生してみてください。長い時間をかけて展開することと、短時間で印象を残すことの違いが見えてきます。全曲を一度に聴く必要はありません。最初は二つの対照的な曲を選び、その間を少しずつつないでいく聴き方もできます。それぞれの曲が担う時間の長さも、作品を楽しむ手掛かりになります。
曲からたどるアルバム
冒頭とLove Sceneを比較し、本編の流れを聴いた後で予告編音楽を別に再生してみましょう。
Main Title - Muted Fanfare
二つの題名を結ぶ表記を手掛かりに、最初の印象だけで曲全体を決めつけずに聴いてみましょう。開始を告げる役割から次の瞬間を準備する役割へ、音楽の構えがどう変わるかが入口になります。すべての旋律を登場人物と結びつける必要はありません。まず前へ進みたくなる場所を探し、それから「Love Scene」へ移って、再び戻ってみてください。長い曲を挟むことで、この短い曲の集中した時間が違って感じられるかもしれません。ここで案内しているのは後年の演奏です。音の明瞭さを、1938年の映画における台詞や効果音との釣り合いの証拠にすることはできません。
参考資料 · Apple Music: 2015 Naxos reference performance, 26 tracksLove Scene
動きの多い場面名が並ぶ中で、この曲には一つの気持ちに長くとどまる余地があります。旋律を覚えようとする前に、どこで一息つけそうだと感じるかを追ってみてください。そこで終わらずに続くとき、待つ感覚はどう変わるでしょうか。冒頭曲と比べると、感情の強さと進む速さは必ずしも同じではないと気づきます。登場人物のその後を知る必要はなく、結末を当てる聴き方でもありません。長い呼吸を保つ音楽として耳を向けるのがよいでしょう。参考音源は独立した後年の管弦楽演奏なので、映画の台詞や効果音まで含む場面の再現を期待するものではありません。
参考資料 · Apple Music: 2015 Naxos reference performance, 26 tracks
次に聴く一枚
次はジョン・ウィリアムズの《Star Wars》へ。特定の借用を断定せず、管弦楽で冒険や人物を描く別の方法を比較できます。
Star Wars ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。