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Make Way for Dionne Warwick(ディオンヌ・ワーウィックの登場)

ポップ / ポップ・ソングの基礎 · 1964

Make Way for Dionne Warwick(ディオンヌ・ワーウィックの登場)

ディオンヌ・ワーウィック

Make Way for Dionne Warwick · Dionne Warwick

この一枚を聴く理由

声を張り上げなくても、次のひと言が待ち遠しくなる。旋律をつなぐ息遣いと、その隙間で動く伴奏に耳を向けたい。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

「Walk On By」を聴くなら、高い音を待つより、一つの言葉が終わる場所を追ってみたい。ワーウィックは感情を一度に放つだけでなく、次の句へ進む言い方で耳を引きつける。声が休む間も伴奏は止まらず、気分を受け渡していく。この盤の魅力は、上手な歌を遠くから眺めることだけにない。滑らかに流れるような曲の中で、少し待つ時間や、急に近づく声を見つける楽しさがある。難しい曲の仕組みを知る前にも、その変化は感じられる。

1964年にセプターから出た三作目で、制作はバート・バカラックとハル・デイヴィッド。作者の名前に注目するのは自然だが、曲を人の話し声のように届ける歌手の働きも忘れたくない。まずは同じ声が、速い曲とゆっくりした曲の間でどう距離を変えるか聴いてみよう。後年のヒット集とは違い、十二曲を続ける中には、知らなかった題名に出会う余地もある。代表曲を確かめて終わるより、その前後を残して聴くほうが、一枚の表情が見えやすい。

落ち着いた声の中にも動きがある

静かな歌い方だから心まで穏やかだ、と決める必要はない。句の終わりを少し待たせる呼吸や、力まなくても残る言葉がある。英語の一語一語がわからなくても、どこで文を分けるかは追える。一度目は声を、次は声の休む場所を聴いてみる。同じ曲が独白から周囲とのやり取りへ広がるかもしれない。大きな変化だけでなく、次の入口を待つ自分の注意にも気づける。滑らかさを退屈と取り違えないための、小さな試し方である。

知っている曲の隣を聴く

「Reach Out for Me」や「Walk On By」を知っていても、その前後を飛ばさずに聴いてみたい。活発な曲の後では、ゆっくりした息遣いの感じ方も変わる。どの曲でも同じ優雅さだとまとめるより、近くへ呼びかける声と、一歩引いた声の違いを探す。馴染みの題名が、まだ知らない歌へ連れていくことがある。曲ごとに注意を向ける先を変えれば、代表曲の一覧とは別のアルバムの時間が生まれる。歌手の表現を一つの性格に固定せずに済む。

配信の版も手がかりに

参照した配信は十二曲だが、一曲目にFrench & Englishという版の表記がある。初版LPと全て同じテイクだと断定する資料ではない。また2004年の権利表記と、1964年の発売は分けたい。版を確かめるのは知識を競うためではなく、違う演奏を同じものとして比べないためだ。短い試聴で気になった曲は、全体の始まりと終わりまで進めてみよう。終わりを知ってから戻ると、最初の声が違って感じられることもある。

曲からたどるアルバム

Walk On Byの距離を保つ歌い方とReach Out for Meの呼びかけを比べたい。参照配信の一曲目はFrench & English版と表記されている。

  1. Walk On By

    歌い終えた句の後を、少し待つつもりで聴く。悲しみを大きく押し出し続けないからこそ、次の声に注意が残る。本人は2014年のグラミーの回想で、オーケストラと一緒の録音を演奏会のような体験として語った。当日の記録ではなく、後年の記憶である点は分けておきたい。声が休むとき、楽器はどんな気分を運ぶだろう。このシングルの殿堂入りは1998年で、1964年の発売当時の受賞を意味しない。まずは名声を脇に置き、同じ短い句が戻るたびに距離が変わるか聴いてみる。知っている曲だから終えるのではなく、知っているから細部へ進める。静かな表現を、感情の薄さと決めない聴き方だ。

    参考資料 · Dionne Warwick: The Making of Walk On By, Recording Academy, 2014 recollection
  2. Reach Out for Me

    「Walk On By」の後に移り、声が相手へ向かう方向の違いを感じたい。題名は手を伸ばすよう促すが、その意味だけで曲を片付けないでおこう。声と伴奏が一緒に進むところ、歌が休んでも動きの残るところに耳を向ける。ライノの回顧記事は本作からの成功したシングルの一つとして挙げる。ただし、その説明を当時の具体的な順位や全聴衆の感想へ広げることはできない。今なら、同じ歌手が励ましと距離を置く気持ちをどう変えて届けるか、すぐに比べられる。伴奏だけを追ってから声へ戻ると、歌の力が音量だけで生まれないことも感じられるだろう。

    参考資料 · Rhino: Make Way for Dionne Warwick, retrospective album note

次に聴く一枚

ダスティ・スプリングフィールドのDusty in Memphisへ。伴奏の動きの中で、声がどのくらい近くに感情を置くかを聴き比べたい。

Dusty in Memphis ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。