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Dusty in Memphis(ダスティ・イン・メンフィス)

ポップ / ポップ・ソングの基礎 · 1969

Dusty in Memphis(ダスティ・イン・メンフィス)

ダスティ・スプリングフィールド

Dusty in Memphis · Dusty Springfield

この一枚を聴く理由

大きく歌い上げる前にも、声は近づいてくる。動き続ける伴奏の中で、短いひと言や少し待つ時間がどんな距離を作るか聴きたい。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

「Son of a Preacher Man」のサビを知っているなら、今回はその前の短い句を追ってみよう。スプリングフィールドは最初から力を使い切るのではなく、次の言葉を待たせる。伴奏は動いていても、声はその中で自分の話す速さを保っている。Dusty in Memphisを有名なソウルの名盤としてだけ知っていた人にも、その関係は身近な入口になる。大きな音を確かめるより、小さな身振りの後が気になる。その感覚から一曲を聴き直すことができる。

1969年発売の全十一曲。題名にメンフィスとあるが、すべての録音が一つの街で終わったわけではない。議会図書館に掲載されたカレン・バートレットの解説は、メンフィスの伴奏録音に続きニューヨークで歌を録った過程を記す。地名を音楽の純粋さの保証にするより、異なる仕事が集まって一枚になることを考えたい。リンク先は十一曲版で、モノ表記の版や曲数を増やした拡張盤とは分けている。同じ題名でも、選んだ版の曲目を見てから聴くと比較しやすい。

声が休むところを追う

歌が止まっても音楽は続く。そのとき耳は別の楽器へ向くだろうか、それとも次の声だけを待つだろうか。一度は声を、もう一度は声の間にある時間を聴いてみる。伴奏を飾りだと思わなくなると、曲の広さも変わって感じられる。楽器名を全部知らなくても、音が込み合う場所と緩む場所は追える。近づいたように感じる句と、少し離れた句の違いに気づくだけでもよい。すべてを同時に聴き取ろうとしないほうが、次に戻る理由が見つかる。

発売時の成績と、長く残る一枚

現在の名声から、発売時にも大ヒットしたと思うかもしれない。だがライノの再発紹介が記す米ビルボードのアルバム最高位は99位。国家録音登録簿への選出は2019年で、この二つは五十年を隔てた別の出来事だ。その距離を知ると、有名な一曲と一枚のアルバムが記憶される仕方にも耳が向く。「Breakfast in Bed」や「Just One Smile」まで残ってみよう。曲を知っている安心感がなくなっても、声の続きが気になるだろうか。順位への賛否より、そうした自分の反応を持ち帰りたい。

終わりの二曲にも時間を残す

十曲目の「No Easy Way Down」から最後の「I Can’t Make It Alone」まで続けて聴いてみる。一曲だけを選ぶ場合とは違い、終わりへ向かう時間が二曲の印象を変えるかもしれない。似た気分の音楽をすぐ探す前に、その順番に少し付き合うのである。長く保つ声は確信に聞こえるか、それともためらいだろうか。答えは聴く日によって違ってよい。楽な音量で一つの文が終わるのを待つだけでも、昔から知っていた歌が近くなる。大きな感情を再現しようと構える必要はない。

曲からたどるアルバム

Son of a Preacher Manの短い句とNo Easy Way Downの長い息を比べたい。外部サービスではモノや拡張盤の表示も確かめよう。

  1. Son of a Preacher Man

    サビを待ちながら、その前の短い言葉がどう置かれるかにも耳を向けたい。すべての音を長く強調しなくても、次のひと言は気になる。ライノの曲目では三曲目なので、最初の二曲を通って到着した場合も試してみよう。語り手の思い出を、そのまま歌手の実体験だと考える必要はない。誰かへ内緒話を渡すような距離が、声によってどう生まれるかを聴く。歌が休んでも拍の力は続くか、次の声で伴奏の印象まで変わるか。知っているサビの前後に時間を足すと、覚えている曲の中にも注意を向ける場所が増える。有名な一節を確認するだけで終えないための、小さな入口になる。

    参考資料 · Rhino: Dusty in Memphis, eleven-track LP programme
  2. No Easy Way Down

    次の音を急いで予想するより、一つの句が収まるのを待ってみる。旋律が伸びる間、周囲の音も待つのか、それとも進み続けるのか。ライノの十一曲構成では十曲目にあり、そのまま最後の曲へ進むと、単独で選んだときとは別の時間になる。題名は高い場所から簡単には戻れない状況を思わせるが、比喩を一つの意味に決めなくてもよい。力を集めるところと余裕を残すところの、どちらで声が近く感じられるだろう。「Son of a Preacher Man」の短い句と比べると、同じ歌手が時間の長さを変えて語ることに気づける。感情の大きさを音量だけで測らない聴き方にもつながる。

    参考資料 · Rhino: Dusty in Memphis, eleven-track LP programme

次に聴く一枚

ディオンヌ・ワーウィックのMake Way for Dionne Warwickへ。動く伴奏との距離を使って親しさを生む、二つの声を比べたい。

Make Way for Dionne Warwick ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。