ポップ / シンガーソングライター・ポップ · 1972
Honky Château
Elton John
この一枚を聴く理由
ピアノの推進力とバンドの和声が、軽やかな足取りと遠い孤独を同じ一枚に置く。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
冒頭の「Honky Cat」では、ピアノと管楽器が言葉を交わすように前へ進む。一方、「Rocket Man」では同じ歌い手の声が、もっと遠い感情の場所に置かれる。Honky Châteauの魅力は、明るさか寂しさかを選ぶことではない。ピアノを中心としたバンドが、ひとつの声を保ちながら両方へ移れるところにある。
1972年5月発表の5枚目のスタジオ作品で、録音はフランスのシャトー・エルヴィルで行われた。デイヴィー・ジョンストンのギター、ディー・マレーのベース、ナイジェル・オルソンのドラムが、エルトンのピアノと歌を支える。バーニー・トーピンの詞とエルトンの曲に、演奏と和声を分け合う人々の色が加わる。題名の城館を想像するだけでなく、一曲の空間をメンバーがどう使うかに耳を向けたい。
ピアノの外側を聴く
ピアノ・ポップという説明は入口になるが、すべてを鍵盤だけで説明することはできない。「Honky Cat」の管楽器と「Rocket Man」のコーラスは、異なる方法で歌の周囲を作る。動きを保つパートと、短く入るアクセントを分けてみよう。明るい曲でも、全員が同じ役目を持つわけではない。声が前に出る瞬間に何が退き、何が残るかを確かめると、馴染みのある旋律の後ろでバンドがしていることが聞こえてくる。 一つの楽器だけを選んで追ったあと、全体へ耳を戻すと、曲のまとまり方も違って感じられる。
後半にも距離の変化がある
有名な曲を聴いたところで終えず、「Slave」「Amy」から「Mona Lisas and Mad Hatters」へ進みたい。近くで話すような瞬間と、リズムに乗って外へ伸びる瞬間が同居している。最後の「Hercules」は原盤の終わりで、再発盤の追加曲はその後にある。最初は10曲で一区切りにし、再聴では曲間の温度の変化を追うと、人気シングルの入れ物以上の流れが見えてくる。曲単独の印象を、前後の並びが変えることもある。
当時の評価と選ぶ版
米国ではエルトン初のアルバム1位、英国では2位となった。公式アーカイヴが再紹介するジョン・ランドーの1972年Rolling Stone評も、当時の好意的な反応を伝える。後年の回顧や記念盤の評価とは時間を分けたい。ここで示す配信版は、原10曲に「Slave」の速い別ヴァージョンを加えた11曲。2023年の記念盤にあるセッションや公演資料のすべてを含むものではない。同じ題名でも演奏が違う場合があるため、原盤の歌と追加録音を区別して聴くとよい。
曲からたどるアルバム
まず1〜10曲目を原盤の流れで聴き、次は歌の後ろの和声と楽器を追う。
Rocket Man (I Think It's Going to Be a Long Long Time)
宇宙を想像する前に、声の距離へ注意を向けたい。自分の状況を話す近さと、サビで広がる空間が交互に現れる。トーピンの詞とエルトンの曲に、バンドのメンバーによる背後の和声が別の広がりを与える。一度目はリード、二度目はその後ろの声が現れる瞬間を追ってみよう。同じ旋律も支え方によって、独り言と共有される歌の間を動く。よく知ったサビが来ても注意を切らず、その後の声と楽器がどう位置を保つかまで聴きたい。壮大な舞台だけでなく、日常と隔たりの物語として受け取るための手がかりが、小さな編曲の変化にある。サビへ入る直前から聴き直し、独唱の周りに声が増える境目を探してみよう。
参考資料 · John F.Higgins: session history and contemporary Landau reviewHonky Cat
軽快さを速さだけでなく、音の受け渡しとして聴いてみよう。ピアノの動きを追い、次に短い管楽器の応答へ注意を移す。一方が流れを作る間に別の音が入り、一定の拍の上でも表面は動き続ける。声を背景に置いて聴いたあと、再び歌を中心へ戻すと、二つの層が互いを押す様子が分かる。管楽器の編曲はプロデューサーのガス・ダッジョンが担当したが、名前だけで楽しさを説明する必要はない。実際には、ピアノの文が終わる前後で別の音がどう場所を取るかを探すほうが直接的だ。アルバムの最初の挨拶が、リズムの交流として聞こえる。歌のある部分と楽器だけの隙間を比べ、管楽器がどこで短く応じるかを追いたい。
参考資料 · John F.Higgins: session history and contemporary Landau review
次に聴く一枚
キャロル・キングのTapestryと、ピアノ中心の歌が異なるバンドの呼吸で変わる様子を比べたい。
Tapestry ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。