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Close to You

ポップ / ポップ・ソングの基礎 · 1970

Close to You

カーペンターズ

Close to You · The Carpenters

この一枚を聴く理由

おなじみの歌声の向こうに、軽快な曲と意外な終曲もあります。独唱に声が重なる瞬間から、アルバムとして聴き直してみませんか。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

冒頭の「We’ve Only Just Begun」では、まずカレンの声を、そのあとに重なる声を追ってみてください。一人がすぐそばで歌っていたところから、少しずつ景色が広がるように聴こえます。ところが次の「Love Is Surrender」は短く軽快です。カーペンターズといえばゆっくりしたバラード、と思っていた人には、この二曲の速さの違いが入り口になります。知っている歌声に安心する楽しさと、その声が別の表情を見せる楽しさが両方あります。

1970年発表のセカンド・アルバムです。ユニバーサル ミュージックの日本向け紹介では、米国アルバム・チャートで最高2位。表題曲のシングル1位とは別の記録です。ここで案内するデジタル版は全12曲で、ヒット曲を集めたベスト盤ではありません。日本の公式商品ページにある2017年という日付はアナログ盤の再発売日です。最初の発表年や、のちのオーケストラとの再制作と混同せず、当時の曲順として聴いてみてください。

柔らかな声だけを聴かない

「Reason To Believe」からビートルズの「Help」へ進むと、声の温かさは続いても、それを支える動きまで同じではないことに気づきます。歌が途切れるところで、楽器が余白を埋めるのか、次の言葉へ急がせるのか。そんな小さな違いを追うだけでも、心地よい背景音楽という印象から一歩先へ進めます。大きな声や高音が出る場面を待たなくても、聴きどころはあります。知らない曲で無理に意味をつかもうとせず、まず声の周りに起きる変化を楽しむのもよい方法です。

名曲になる前の日常的な出発点

リチャードの後年の回想によれば、「We’ve Only Just Begun」との出会いは銀行のテレビ広告でした。ロジャー・ニコルズとポール・ウィリアムズの広告用の歌が、アルバムの一曲目へと移ってきたのです。最初から名曲として用意されていたわけではない、と考えると身近に感じられます。ただし、この回想を1970年の聴き手全体の評価として扱うことはできません。短い広告という出発点と、録音で広がる豊かな響きを並べて考えてみましょう。

最後の一曲を残しておく

終曲「Another Song」では、有名なシングルとは違う長さや展開に出会います。リチャード自身も、当時の冒険的な編曲への関心と結びつけて振り返っています。知っているサビだけを待つのではなく、歌が休んだあとも音楽がどう進むかに耳を向けてみてください。この曲をいちばん好きになる必要はありません。ただ、最後まで曲順に残しておけば、端正なバラードだけでは説明できない二人の一面に触れられます。ベスト盤で覚えた歌と、その歌が収められたアルバムは、少し違う体験になるはずです。

曲からたどるアルバム

最初の二曲のテンポを比べ、6曲目と終曲へ進んでみてください。短い試聴では長い展開の全体までは分かりません。

  1. (They Long To Be) Close To You

    邦題は「遙かなる影」。冒頭のピアノと歌の近さを聴いたあと、声や楽器が増えてもカレンが一人に話しかけるように聴こえるか、確かめてみてください。バート・バカラックとハル・デイヴィッドの作品で、カーペンターズの書き下ろしではありません。リチャードの後年の回想では、ハーブ・アルパートがこの曲を持ってきた経緯が語られます。1970年に彼ら初の全米1位シングルとなったことは、柔らかな歌が大きな人気を獲得した具体的な記録です。成功の理由を声の美しさだけにまとめず、独唱と周囲の響きが自然に入れ替わるところも追ってみましょう。よく知るサビのあとにも耳を残すと、懐かしさだけではない楽しみが見つかります。

    参考資料 · Richard Carpenter: Close to You album recollection and original credits
  2. We've Only Just Begun

    日本では「愛のプレリュード」として親しまれる曲です。まず静かな歌い出しを聴き、管楽器や重なる声が入ってきたとき、音の広さがどう変わるかに注目してみてください。リチャードの回想によれば、もとは銀行のテレビ広告で耳にした歌でした。日常の短い広告からアルバムの冒頭へ移った経緯を知ると、名曲という肩書きよりも身近な出発点が見えてきます。新しい始まりを示す内容と、徐々に広がる響きを結びつけて聴くのもよいでしょう。続く「Love Is Surrender」まで止めずに進むと、短く速い曲がこの余韻を切り替えます。一曲だけを取り出したときには分かりにくい、曲順の楽しさも味わえます。

    参考資料 · Richard Carpenter: Close to You album recollection and original credits

次に聴く一枚

次はダスティ・スプリングフィールドの《Dusty in Memphis》へ。近く感じる歌声と豊かな伴奏の組み合わせを、リズムの違いから比べてみてください。

Dusty in Memphis ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。