ロック / ブリティッシュ・インヴェイジョンと60年代ポップ・ロック · 1966
Pet Sounds
The Beach Boys
この一枚を聴く理由
明るく重なる声の奥で、安心しきれない気持ちが動いている。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
声は晴れやかに重なるのに、その中の気持ちは簡単に落ち着かない。『Pet Sounds』への入口は、複雑な編曲の正解探しより、このずれを聴くことにある。弾む始まりから一人で考えるような終わりまで、美しい音が必ずしも幸福な結末を約束しないことが、短い曲の間に表れてくる。
1966年に発表された本作では、ブライアン・ウィルソンが録音スタジオを作曲の場所として使った。セッション奏者たちによる伴奏に、ビーチ・ボーイズの重要な歌唱が加わる。したがって、バンド抜きで作った作品と説明してしまうと、耳に届く音楽の中心を消してしまう。制作を導く個人と、実際に声を重ねる人々の働きを一緒に聴きたい。
主役の後ろも動いている
どの楽器が何本あるかを当てなくても楽しめる。主旋律が一息つくとき、下で続く低い動きや、別の方向へ向かう小さな旋律を追ってみよう。背景は空白にならないが、すべての音が主役を奪い合うわけでもない。高く重なる声と低い音、その間の細かな返事を分けて聴くと、密度の高い編曲にも入口ができる。明るさと迷いが一つの曲に同居する感触は、こうした関係にも支えられている。歌が止まる瞬間も聴きどころだ。
歌のない時間も含めて
Wouldn’t It Be Niceの弾む入口から、期待、待つ気持ち、周囲になじめない感覚へと移っていく。途中のLet’s Go Away for a Whileと後半のタイトル曲は器楽曲で、言葉だけが感情の流れを担っていないことがわかる。最後のCaroline, Noでは、最初の願いが同じ表情で戻ってくるわけではない。全曲を一つの物語に押し込むより、誰かといたい時間と、一人で思う時間の交代として聴く方法もある。曲を飛ばさず、その間の呼吸も確かめたい。
発売時の反応と後の版
英国では1966年のアルバム・チャートで最高2位を記録した。米国議会図書館に掲載されたトム・スマッカーの後年の解説は、米国での初期の商業的な失望と英国の歓迎を対比している。作品が全米録音資料登録簿に加わったのは2004年であり、これも発売時の評価とは別の出来事だ。リンク先の2001年リマスターは、原プログラム十三曲のモノ版に続けてステレオ版十三曲を収める。まず前半だけを一枚のアルバムとして聴き、その後に比較を始めたい。二度目の並びは新曲十三曲ではなく、公式に案内される2016年のモノ再発も別の版である。再発の年やミックスの違いを整理すると、最初の短い曲順が作る感情の流れに集中できる。
曲からたどるアルバム
主旋律が休むところで、低い音と小さな返答の旋律を追う。
Wouldn't It Be Nice (Mono)
明るい導入と勢いのあるリズムは、すでに喜びの中にいるような期待を作る。しかし歌の気持ちは、今ある幸福を報告するより、これから一緒に過ごす時間へ向かっている。この二つを同時に受け止めると、軽快な音も単純な楽観だけではなくなる。まず拍を追い、次には独唱の周囲に声が増えるときの大きさを聴こう。動きが少し緩んでから戻る部分も、その願いを持続させる。ここではモノ版を入口にし、後でステレオと比べる場合も、楽器の左右だけを調べて終わらないようにしたい。声が一つの期待をどれほど強く束ねるかが、この短い曲を聴き直す手がかりになる。
参考資料 · Apple Music: Mono & Stereo 2001 remasterGod Only Knows (Mono)
主旋律は近くに感じられるが、その後ろの場所は一枚の背景として固定されない。途中では伴奏の小さな動きを追い、終わりでは複数の声が重なって続く部分に集中したい。同じ思いの反復でも、誰が前へ出て誰が支えるかで、感情の広がりは変わってくる。言葉が一つの結論に閉じず、声の間を巡っているようにも聴こえる。これは専門用語を覚えなければ解けない仕掛けではなく、一つの聴き方だ。主旋律に親しんだ後は、別の声を一本選んで追ってみよう。モノでも、入る時機と引く時機、重なり方の違いは聴ける。左右への分離だけが奥行きを作るわけではない。
参考資料 · Apple Music: Mono & Stereo 2001 remaster
次に聴く一枚
The Beatlesの『Revolver』へ進み、1966年のポップで録音と編曲が感情をどう変えるか比べたい。
Revolver ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。