ロック / ロックンロールの誕生 · 1957
Here’s Little Richard(ヒアズ・リトル・リチャード)
リトル・リチャード
Here's Little Richard · Little Richard
この一枚を聴く理由
最初の叫びの後はピアノとサックスへ。短い言葉を受け渡すバンドの動きが、声の勢いをさらに前へ運ぶ。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
「Tutti Frutti」の出だしは知っていても、その下のピアノまで覚えているだろうか。今回は声に驚いた後、伴奏へ注意を移してみたい。歌が短く切れるとサックスが答え、拍は次の入口を用意する。声の大きさだけでは説明しきれない、受け渡しの速さがある。大音量にしなくてもその動きは感じられる。昔のロックはただ元気だ、という印象から一歩進むには、誰が次の一言を待たせるのか聴くのがよい。知っていた冒頭の先に、まだ耳を置ける場所が残っている。
1957年にスペシャルティから出た最初のアルバムで、すでにシングルで知られた曲も収めている。一度の録音で長い物語を作った作品というより、短い演奏を次々に受け取る一枚として入れる。リンク先は2017年の拡張版。第一ディスクの十二曲が元の曲順で、第二ディスクの二十二曲はデモや別テイクだ。まず「She’s Got It」で止めても原盤を聴き終えたことになる。追加分まで全部聴かないと足りないわけではない。同じ曲名が続く理由を知っておけば、好きな一曲から資料へ進む使い方ができる。
叫ぶ歌手という記憶の外へ
三曲目の「Can’t Believe You Wanna Leave」から「Ready Teddy」へ続けてみよう。長く言葉を保つ歌と、短い言葉を詰めていく歌では、耳が待つ場所が違う。音量だけでなく、一つの句が使う時間を比べたい。いつも全速力の人という印象も、実際の曲順では少しずれる。冒頭が強すぎると感じたなら、三曲目から入って前へ戻ってもよい。代表曲を順に確認するだけでは見落とす表情が、その間にある。声の派手さを楽しみながら、違う呼吸にも場所を残せる。
原曲とカバーが届いた場所
議会図書館のケアリー・オデルの解説は、白人歌手パット・ブーンのカバーとのチャート成績を比べる。「Tutti Frutti」ではブーンが上位、「Long Tall Sally」ではリチャードが上位だった。黒人音楽家の曲を白人歌手が主流の聴衆へ届け直す市場の中で、結果は一様ではなかったのである。順位をどちらの声が好きかの答えにせず、まず原曲の言葉が入る位置を覚えたい。歴史的な評価と、自分が身体で感じる拍は分けて考えられる。
追加録音は一組ずつ
原盤に慣れたら、外部の拡張版、第二ディスク十曲目の「Slippin’ and Slidin’」のピアノとドラムによるデモを選んでみる。音が減ると、完成版の下にあったリズムの骨組みが目立つかもしれない。デモを完成前の失敗と決めるより、同じ歌に別の力の配り方があると聴ける。三十四曲を初めから分析しなくてもよい。一曲の二つの版を往復し、また十二曲の順番へ戻る。資料の多い再発を、自分の気になった場所から使う方法である。
曲からたどるアルバム
まず原盤の十二曲を。三曲目から四曲目への変化を聴き、別テイクは外部サービスの拡張版で選んでもよい。
Tutti Frutti
出だしを覚えていたら、その次はピアノの拍を追ってみよう。声が止まると勢いは弱まるのか、バンドが次の入口を作るのか。議会図書館の解説は1955年の録音とし、録音用の歌詞を整えたドロシー・ラボストリーの仕事も記す。1957年の盤にあるから、その年に初めて生まれた曲とは限らない。全ての言葉を訳さなくても、叫びが意味とは別にリズムを作ることは聴ける。後で別の歌手の版へ移るなら、同じ旋律のどこへ言葉が着地するか比べたい。有名な始まりを確認して終えるのでなく、そこから伴奏の返事を待つ時間を作れる。声だけを覚えていた一曲が、合奏として近づく。
参考資料 · Cary O’Dell: Tutti Frutti, Library of Congress guest essayLong Tall Sally
速い言葉を全部つかもうとせず、一つの句が息を放す場所を聴いてみたい。声と伴奏が交互に急ぐ気分を渡すように感じられるかもしれない。議会図書館の解説では米ポップ最高位はリチャードが六位、パット・ブーンのカバーが八位。「Tutti Frutti」とは順が逆だった。ただし、黒人音楽家への障壁が全て消えた証拠にはならない。今は順位を脇に置き、短い語尾へ耳を向けよう。第一ディスクで直前の「Slippin’ and Slidin’」から来る場合と、この曲だけを選ぶ場合も試せる。二分ほどの演奏を興奮させるものは、速さだけだろうか。比較を自分の反応へ戻してみたい。
参考資料 · Cary O’Dell: Tutti Frutti, Library of Congress guest essay
次に聴く一枚
Elvis Presleyのデビュー盤へ。二つのTutti Fruttiで言葉の強調と楽器の返事を聴き比べたい。
Elvis Presley ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。