ソウル / R&B / モータウン · 1969
Cloud Nine
ザ・テンプテーションズ
Cloud Nine · The Temptations
この一枚を聴く理由
歌声の調和を残しながら、ギターと長いリズムの流れが前へ出てくる転換期の一枚。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
歌い出す前に、ギターが口を開閉するような音を出す。そこへ高さの違う声が入り、リズムの中で次々に場所を変える。テンプテーションズらしいハーモニーは消えていないが、伴奏はもう静かな背景ではない。後半の滑らかなバラードと並べると、その変化がよく分かる。
1969年2月発売の本作は、デニス・エドワーズ加入期の変化を刻む。ノーマン・ホイットフィールドの制作によって、ヴォーカル・グループの形の中に新しいリズムと音色が持ち込まれた。タイトル曲のシングルは1968年に出ており、アルバム発売とは区別したい。新しさは題材だけではなく、楽器がどれほど前へ出て、どれほど長く演奏するかにも表れる。
音の配置を聴く
サイケデリック・ソウルという言葉が難しければ、まずギターの音色が開いたり閉じたりする動きを追ってみよう。ワウという効果が、同じリズムの繰り返しに違う表情を与える。声もその中へ入り、単に一人の独唱を支えるだけでなく、注意の向きを変えていく。一度は歌を中心に、もう一度はベースやドラムを中心に聴くと、同じ箇所でも見える関係が違う。歌が止まっても伴奏だけで動きが続くことが大切だ。
長い三曲、短い七曲
オリジナルLPのA面は三曲で、九分を超す「Runaway Child, Running Wild」が大きな部分を占める。B面は七つの短い歌で構成される。「Hey Girl」のように声の感情を近くで伝える曲を聴けば、以前の表現をすべて捨てたわけではないと分かる。長い器楽部分と簡潔な歌が同じ一枚にあることで、変化の幅が生まれる。最初は順番を保ち、広がった時間から短い形式へ移る感覚を確かめたい。新しい音だけを選ぶと、作品の持つ二つの顔が見えにくくなる。長い曲の後に短い曲へ移ると、声の一言が持つ重さも変わって感じられる。この並びそのものを、演奏の変化と同じように聴きどころにできる。
当時の反応と後年の説明
タイトル曲は1969年にグラミーを受賞し、アルバムは米国R&Bアルバム・チャート首位に達した。これは当時の受容を示すが、すべての曲への批評的合意を意味しない。後年のモータウンやUMeの紹介は転換の意義を強調しつつ、従来の歌唱の魅力も残ると述べる。ここで案内するデジタル版は原盤順の全十曲で、三曲目は短いシングル編集ではなく長い版。後年のカラーLPと同一のマスタリングだとは断定しない。題名の逃避のイメージも、薬物という一つの解答に固定せず、厳しい現実と解放を求める感情の間で聴く余地がある。
曲からたどるアルバム
最初の三曲から「Hey Girl」へ進み、長い伴奏と短い歌の時間感覚を比べる。
Cloud Nine
冒頭のギターが母音を変えるように響くところを聴こう。下の型が繰り返されても、音色の開閉によって表面は動き続ける。歌い手が加わると、高い声と低い声もその動きの一部になる。一人の主役を無名のコーラスが支える場面より、数人が同じ状況へ違う言い方で応じる場面として聴いてみたい。モータウンの紹介に残るデニス・コフィーの回想は、このギター効果の背景を示す。ただ、機材を知らなくても、歌の隙間で伴奏が活力を保つことは追える。サビの高揚と語られる生活の困難が完全には一致しない点も魅力だ。明るく聴こえるから安心した結論だとは限らない。
参考資料 · Classic Motown: recording history and album contextRunaway Child, Running Wild
物語を歌い終えれば曲も終わる、とはならない。九分を超すアルバム版では長い器楽部分が重要な比重を持つ。家を出た子供の不安を追っていた耳が、反復するリズムと変化する楽器へ移る瞬間に注意したい。オルガンやギターは完成した歌の飾りではなく、緊張をどれだけ続けられるかを決める存在になる。一度の派手な独奏を待つより、小さな変化が積み重なる様子を追うと入りやすい。短いシングル版では同じ長さの道のりは味わえない。声が減った後に何が中心へ出るかを確かめれば、ヴォーカル・グループのレコードという枠が広がっていく感覚を具体的に捉えられる。
参考資料 · Temptations/UMe:2018reissueannouncement and originaltracklist
次に聴く一枚
フォー・トップスの『Reach Out』(1967)と並べ、モータウンの歌声を支える伴奏の役割を比べたい。
Reach Out ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。