ソウル / R&B / スタックスとサザン・ソウル · 1966
The Exciting Wilson Pickett
ウィルソン・ピケット
The Exciting Wilson Pickett · Wilson Pickett
この一枚を聴く理由
力強い声と短い楽器の応答が、互いの存在を大きくする十二曲。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
一曲目と七曲目を続けて比べると、同じ歌手が別のリズムへ入る瞬間がよく分かる。「Land of 1000 Dances」と「In the Midnight Hour」は、原LPのそれぞれの面を開く曲だった。大きな声を待つだけでなく、その声が入る直前に耳を置いてみたい。バンドが残す場所によって、ピケットの短い発音まで重みを増す。
1966年にアトランティックから発表された十二曲の作品で、異なる録音現場の仕事が集まっている。「In the Midnight Hour」は1965年のメンフィス、スタックス録音。「Land of 1000 Dances」はアラバマ州マスル・ショールズのフェイムで生まれた。一つのスタジオで一度に完成した演奏と考えるより、声が異なる協力関係の中で中心を保つ姿を聴ける。
両面の入口から先へ
原LPのA面は「Land of 1000 Dances」で始まり、「Something You Got」「634-5789」を経て「You’re So Fine」まで進む。B面の入口は「In the Midnight Hour」だ。馴染みの曲が両側を開くが、その後の歌まで聴くと別の表情も見える。「Danger Zone」「I’m Drifting」「It’s All Over」などで、声が聴き手に向ける姿勢はどう変わるだろうか。踊れる有名曲だけの集まりとして覚えるより、十二曲の間で呼びかけ方を比べる方が、歌手の幅に近づける。
作者と歌い手の違い
他の作家の曲とピケットの共作曲が一緒に並ぶ。「634-5789」を書いたのはスティーヴ・クロッパーとエディ・フロイド。作者は誰か、どの声によって記憶されるかは、同じ問いではない。ピケットは語尾を伸ばしたり切ったりし、短い句を繰り返して独自の時間を作る。初めは歌を一緒に口ずさむつもりで、次は歌の後ろに残る楽器へ意識を移してみよう。叫びの多い音楽という要約の奥に、互いの出番を逃さない細かさがある。大きな声がない瞬間も、曲の力まで途切れるわけではない。その連続を確かめることが、何度も聴くための手掛かりになる。
余白からもう一度聴く
ざらついた音色や叫びは印象に残りやすいが、文の始まりと終わった後の間にも注意したい。歌手が少し休むとき、ギターや管楽器は何をしているだろうか。伴奏がすべての空間を埋めないからこそ、次の発音が鮮やかになることもある。力のある歌とは、最初から最後まで同じ強さを続けることではない。短い言葉の中にも違う大きさがあり、その変化を周囲の演奏が受け止める。声だけを切り離さずに聴くと、迫力の理由が具体的になる。 十二曲を聴いた後で、最初に印象へ残った叫びの前後を選び直そう。声が消えた場所にも緊張が続いていれば、その理由を楽器の動きに探せる。よく知る歌を口ずさんだあとで、同じ箇所の伴奏だけを追う。そんな小さな聴き方の変更が、迫力という一語の後ろにある共同作業を近くしてくれる。
曲からたどるアルバム
原LP両面の入口である一曲目と七曲目を比べ、声の隙間に入る楽器の応答を追ってみよう。
Land of 1000 Dances
まず声の後ろで続く反復を聴き、次にピケットの短い呼びかけがそこへどう入るかを確かめたい。声の大きさは、その支えによって一段と強く感じられる。フェイムの公式記録はこの録音をマスル・ショールズの仕事に含めているため、他の収録曲のスタックスの奏者や部屋の説明を、そのまま移してはいけない。皆で参加できる句も、進行を止めず次へ押し出す役割を持つ。冒頭曲として、短い発音までリズムとして受け取る耳を開いてくれる。観客の前で演奏するような活気を感じても、それ自体はライヴ録音である証拠ではない。声と反復の関係から、その活気の形を聴いてみよう。
参考資料 · FAME studio official: Wilson Pickett recording historyIn the Midnight Hour
A面の入口と比べると、文を置く空間の感じ方が変わる。声が入る瞬間だけでなく、その前後でバンドが残す隙間を追ってみよう。1965年のスタックス録音が、この1966年のアルバムではB面の先頭に置かれている。この時間差を覚えておけば、全体を同じ日のセッションと考えずに済む。歌手が少し退いても、ギターや管楽器、リズムは次の句の場所を保つ。一度は言葉を中心に、次は文と文の間の伴奏を中心に聴きたい。ピケットの力を声量一つで説明するより、自分が現れる瞬間を鮮明にする能力として感じられる。待つ時間も歌の迫力を支えている。
参考資料 · Rhino / Stan Cornyn: In the Midnight Hour at Stax in 1965
次に聴く一枚
『The Dock of the Bay』と比べ、別のソウル歌手がバンドの隙間を使う方法を聴きたい。
The Dock of the Bay ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Atlantic official 75th anniversary mono reissue: twelve-track programme · store.atlanticrecords.com
- FAME studio official: Wilson Pickett recording history · famestudios.com
- Rhino / Stan Cornyn: In the Midnight Hour at Stax in 1965 · www.rhino.com
- Rhino: 634-5789 writers and retrospective context · www.rhino.com
- Apple Music: twelve-track edition · music.apple.com