ソウル / R&B / リズム&ブルースからソウルへ · 1963
Live at the Apollo
ジェームス・ブラウン
Live at the Apollo · James Brown
この一枚を聴く理由
短い曲の勢いと長いバラードの間で、客席の反応も音楽の時間を動かします。
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収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
紹介の声から「I’ll Go Crazy」へ入ると、歌が始まる前から会場が動いていたことに気づきます。声を短く切るジェームス・ブラウンと、先へ進むバンド。その奥にある客席の音にも耳を向けてください。消したい雑音と考えるのをやめると、一節のあとに人々が応える時間まで演奏の一部に感じられます。後年のファンクしか知らなくても、そこから入れる一枚です。
1962年10月24日、ニューヨークのハーレムにあるアポロ劇場で録音され、1963年に発売されました。録音費をブラウンが負担した経緯は米国議会図書館の回顧文とAppleの紹介に記されています。当時の反響について同回顧文は米国のポップ・アルバム・チャートで最高2位と説明しています。一方、全米録音資料登録簿への選定は2004年です。発売時の成功と後世の保存対象としての評価は、別々の出来事として捉えたいところです。
曲間を飛ばさずに
前半は短い歌と器楽のつなぎが続きます。「Try Me」で速度が落ちても、公演全体の流れから離れたようには感じられません。一曲が終わったとき、何が次へ残るのかを探してみましょう。拍子なのか、拍手なのか、次の登場への期待なのか。短い連結部分も聴くと、有名曲を集めたリストとは異なる構成が見えてきます。速い曲だけが熱気をつくるわけではないのです。曲順にも耳を向けたい作品です。
待つ時間が大きくなる
「Lost Someone」は約11分に及びます。それまでの短い曲に慣れた耳に、まったく違う時間の幅を与える演奏です。声の高さや強さだけでなく、一節のあとで何を待っているのかに注目してみてください。歌い続けることと、次の声を待たせることが交互に現れます。後年のファンクへの前段階としてだけ聴くより、バラードと舞台の進め方がこの作品ですでに果たしている役割を味わうほうが、表現の広さに触れられます。
録音年と配信版を分ける
後半のメドレーを経て「Night Train」が締めくくります。ここで案内する配信版は、紹介と三つの器楽のつなぎにも番号を付けた全11トラックです。元のLPでは両面に分かれていた「Lost Someone」が、一つのトラックにまとまっています。題名の1962は録音年であり、配信版の2013年という権利表記は公演の年ではありません。最初は気になる一曲だけでも構いません。次に訪れるときは短い区間を飛ばさず、前半の速さが長い歌をどう迎えるか、そして終曲までどう進むかをたどってみてください。
曲からたどるアルバム
I’ll Go CrazyからTry Meへ続け、Lost Someoneでは声と反応の間を追ってみてください。
Lost Someone
約11分という長さに構える前に、最初の一節のあとに残る空間を聴いてみましょう。声が戻ってくるのを待つ間、客席や伴奏は何をしているでしょうか。すべての言葉を訳さなくても、その小さな待ち時間を追うことができます。元のLPでは両面に分かれていた演奏が、ここで案内する配信版では一つにつながっています。短い試聴だけでは全体の割合が分かりにくい曲です。前半の短い曲を一つ聴いてから戻ると、バラードが公演の速度を変えるところを感じやすくなります。盛り上がる瞬間だけでなく、声を抑えて次の反応を待つところにも注目してください。長い歌を聴く手がかりが、細かい間の中にあります。
参考資料 · Library of Congress — Live at the Apollo, Xavier FauthouxNight Train
長いバラードとメドレーを経たあとの終曲です。繰り返す伴奏に声がどこから入るかを追ってみてください。Appleの回顧的な紹介は、ここでの呼びかけと応答を取り上げています。専門用語として覚えるより、一声のあとに何が返事のように聞こえるかを探すと楽しめます。客席の音をすべて言葉として聞き取る必要はありません。この曲だけを選んだときと、前の曲順をたどってから聴いたときでは、同じ拍子の感じ方が変わるでしょうか。曲を終えることと、会場の勢いを保つことの両方を考えながら聴くと、最後に置かれた意味が見えてきます。一曲の魅力を見つけたら、公演の中へ戻してみたくなる締めくくりです。
参考資料 · Apple Music — Live At The Apollo (1962), 11-track edition
次に聴く一枚
次はサム・クックのLive at the Harlem Square Club, 1963へ。客席との関係が歌い方をどう変えるかを比べてみてください。
One Night Stand! Live at the Harlem Square Club, 1963 ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。