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愛と自由を求めて / Extension of a Man

ソウル / R&B / シンガーソングライター・ソウル · 1973

愛と自由を求めて / Extension of a Man

ダニー・ハサウェイ

Extension of a Man · Donny Hathaway

この一枚を聴く理由

歌手、鍵盤奏者、編曲家という複数の顔を、異なる編成と曲順によって広げた作品。

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収録曲・試聴

日本語編集版

アルバムの物語

『Extension of a Man』は、よく知られた歌声をすぐ前に出す始まり方をしない。大きな管弦楽の入口を経て、二曲目で歌の旋律が中心となる。その順序によって、聴き手は歌手に落ち着く前に編曲家としてのハサウェイに出会う。

ハサウェイは歌い、鍵盤を弾き、多くの曲を編曲する。アリフ・マーディンの制作のもとでも、各曲を同じ人数や同じ音色に揃えた作品ではない。弦、管、合唱を含む第一曲と、リズム楽器が中心の「Valdez in the Country」では規模が大きく変わる。その違いを華やかさの順位にせず、何が前へ出るよう設計されているかを聴くと、題名の「拡張」が具体的に感じられる。声を支える場所だけでなく、声以外に何を聴かせるかが問われる。

歌より先に開く入口

「I Love the Lord, He Heard My Cry」は二つの部分を一つのトラックとして置く。続く「Someday We’ll All Be Free」で歌の線へ焦点が移るため、声は唯一の出発点ではなく、すでに広がった音楽に加わる力となる。マーディンは後年の取材で、ハサウェイのファンクの感覚と交響的な書法の両方を回想した。その証言は全録音の工程を説明するものではないが、ここで隣り合う異なる規模を理解する背景になる。

鍵盤の役割が変わる

「Flying Easy」から「Valdez in the Country」へ進むと、鍵盤とリズムの動きが前景になる。次のアル・クーパー作「I Love You More Than You’ll Ever Know」では長い歌とテナー・サックスが別の重みを生む。最初の五曲は、大編成が小さなバンドへ次第に縮むだけの過程ではない。声の比率や楽器の密度が何度も変わり、鍵盤も伴奏と主役の間を移動する。その切り替えを追うと、同じ奏者の異なる働き方を聴き取れる。

原作の結末を確かめる

後半は「Come Little Children」「Love, Love, Love」「The Slums」と進み、短い「Magdalena」を経て「I Know It’s You」で終わる。レオン・ウェアの作品を選んだ結末まで含め、他の作者の歌も自分の編曲の中へ迎える構成だ。現在の版で続く「Lord Help Me」は追加曲なので、原作の最後の場面とは分けたい。歌手の人生を後から予告する物語へ狭めるより、異なる素材をまとめる選択に耳を向けるほうが、作品の活力を捉えやすい。最終曲を確認してから冒頭へ戻ると、大きな入口と歌による出口の違いもはっきりする。

曲からたどるアルバム

管弦楽の第一曲から「Someday We’ll All Be Free」へ進み、「Valdez in the Country」の鍵盤中心の編成と比べる。

  1. Someday We’ll All Be Free

    二曲目は大きな管弦楽のあとで、歌の旋律を明瞭な中心に置く。ハサウェイとエドワード・ハワードの共作で、ハワードの作詞はレーベル資料でも確認できる。その役割分担を、歌手の私生活を全て説明する鍵とはせず、声と作品を作る仕事を考える入口にしたい。鍵盤、トランペット、リズム楽器が声の周囲に違う線を描くところを追うと、長い旋律が曖昧にならずに立つ仕組みが分かる。ここでは約四分十一秒のアルバム録音を選ぶ。別の歌手の解釈やライブの長い展開ではなく、第一曲と「Flying Easy」の間にあるこの演奏の比率を聴こう。サビだけでなく、その前から続く流れを大切にしたい。

    参考資料 · Qobuz / Rhino Atlantic: eleven-track LP versions, times and personnel
  2. Valdez in the Country

    四曲目では電気ピアノとリズムの結び付きが前へ出る。コーネル・デュプリーとキース・ラヴィングのギター、ウィリー・ウィークスのベース、レイ・ルーカスのドラム、ラルフ・マクドナルドの打楽器という編成は、冒頭の管弦楽とは違う距離で奏者を見せる。約三分三十一秒の中で、鍵盤の動きが拍とどう組み合い、各楽器が別の場所を埋めるかを追いたい。歌の間をつなぐ休憩ではなく、演奏者の顔を見せる一場面だ。「Flying Easy」と次の長い「I Love You More Than You’ll Ever Know」の間に置くと、声の有無が流れの規模を変える働きも分かる。別のライブではなく、この盤の全トラックを選定した。

    参考資料 · Qobuz / Rhino Atlantic: eleven-track LP versions, times and personnel

次に聴く一枚

ビル・ウィザースの『Just As I Am』へ進み、多彩な編成と比較的簡潔な編成が、それぞれ声の周囲に作る空間を比べたい。

Just As I Am ↗
参考資料と編集について

日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。