レゲエ・ラテン / ラテンアメリカ · 1966
Las últimas composiciones
Violeta Parra
この一枚を聴く理由
感謝、風刺、悲しみを、同じ結論にまとめず十四曲の形へ分けていく。
音楽と一緒に読む
収録曲・試聴
日本語編集版
アルバムの物語
「Gracias a la vida」で始まるからといって、全編が感謝の歌なのではない。ビオレータ・パラは小さな編成を用いながら、長い歌と短い舞曲、親密な呼びかけと鋭い言葉を並べる。簡素な伴奏は感情を薄めるものではなく、その違いを隠さず伝えるための輪郭になる。
チリの伝承音楽を採集した人であり、自ら作曲する人でもあったパラ。この作品では、受け継いだ形式が個人の表現へ変わる接点に注目したい。古い歌の標本集とも、同じ主張を十四回繰り返す作品とも違う。歌詞の内容をすべて理解する前でも、語りが長く続く曲と、短くまとまる曲の配分が入口を作ってくれる。
「最後」だけではない題名
制作と原作の年として示される一九六六年と、国立図書館が記す一九六七年一月の市場流通は区別しておく。題名を後年の死を予告した言葉と決めつけると、「最新の作品」という当時の意味が見えにくい。冒頭曲の感謝を全曲の答えにしてしまう必要もない。続く「El Albertío」「Cantores que reflexionan」まで進めば、歌が向けられる相手や態度は一つではないと分かる。
レコードを裏返す地点
第一面の最後は「La cueca de los poetas」、第二面の最初は「Mazúrquica modérnica」。舞曲を思わせる名前と言葉遊びが並ぶこの境目を、連続再生でも覚えておこう。深刻なバラードだけが続くという予想から離れられる。「Run Run se fue pa’l Norte」と「Maldigo del alto cielo」の比較的長い展開に対して、短い曲がどこに置かれるかも面白い。長さを感情の重要度と取り違えず、形式が変わる瞬間として捉えたい。
九曲目のあとに残る世界
「Volver a los 17」は九曲目であり、終曲ではない。その後も「Rin del angelito」から「De cuerpo entero」まで五曲が残る。よく知られた二曲だけを取り出した紹介では、この後半の広がりが失われる。短い終曲を経て冒頭へ戻ると、感謝が葛藤をすべて解消したという物語より、相容れない感情を別々の歌へ託した作曲家の姿が浮かぶ。舞曲の名前を全部知ることより、曲ごとに言葉を収める器が変わることに気づく方が、最初の一周には役立つだろう。 冒頭の長い歌だけに重心を置かず、一分台の曲にも独立した役割を認めると、作品の見取り図は変わる。代表曲を集めた選集とは違い、短い終わりまでを含めた十四曲の並びそのものが、この一枚を聴く理由になる。
曲からたどるアルバム
七曲目のあとを仮の盤面の切り替えとし、八曲目からの再出発を意識する。
Gracias a la vida
歌、チャランゴ、ギターという原曲の編成は、後世に広く歌い継がれた名曲を具体的な大きさへ戻してくれる。研究者クリスティアン・ゲラは六つの節と、拍に対する歌の自由な置き方を分析している。同じ始まりが戻っても、感情まで最初の地点に戻るとは限らない。第一節の旋律を覚え、次の節が何を積み重ねるか比べてみよう。題名だけで単純な歓喜と決めない聴き方ができる。選曲は標準版冒頭の約四分三十四秒で、別配信の弦楽編曲版ではない。続く「El Albertío」まで聴くと、この一曲の名声だけで全体を説明することも難しくなる。
参考資料 · Cristián Guerra: La práctica de la versión en Gracias a la vida (2013)Volver a los 17
短い「Mazúrquica modérnica」の次に置かれた約四分十秒の九曲目が、後半に長い歌の場所を開く。題名の十七歳は録音時の歌手の年齢ではなく、歌の中での回帰である。すべてを本人の特定の出来事へ当てはめず、繰り返す部分が周囲の語りをどう受け止めるかを追いたい。有名な曲だが終曲ではなく、次は「Rin del angelito」、さらに四曲が残る。曲の完成感とアルバムが続く感覚を両方保つために、この移行まで一緒に聴いてみよう。ほかの歌手による演奏を知っていても、まずパラ自身の曲順での役割を確かめられる。
参考資料 · Museo Violeta Parra / Chile Patrimonios: original album object and programme
次に聴く一枚
Cesária ÉvoraのMiss Perfumadoへ進み、小さな編成が歌手を囲む二通りの方法を比べたい。
Miss Perfumado ↗参考資料と編集について
日本語の読者に向けて独立して編集した記事です。作品の事実関係は下記の資料を参照し、聴きどころは編集上の解釈として記しています。AIによる編集・検査を実施しており、第三者の読者による実査ではありません。
- Museo Violeta Parra / Chile Patrimonios: original album object and programme · www.chilepatrimonios.gob.cl
- Memoria Chilena: Industria musical · www.memoriachilena.gob.cl
- Nelson Niño Vásquez: Gracias a la vida, Revista Musical Chilena (2015) · www.scielo.cl
- Cristián Guerra: La práctica de la versión en Gracias a la vida (2013) · repositorio.uchile.cl
- Munster / Vampisoul: original edition and later orchestral version · munster-records.com
- Memoria Chilena: Violeta Parra · www.memoriachilena.gob.cl
- Apple Music: Las Últimas Composiciones, fourteen-song standard programme · music.apple.com